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カテゴリ:コンサート

ムラヴィンスキーの伝説!
レニングラード・フィルの歴史!
ロシア最高のコンビで贈るチャイコフスキー!!


サンクトペテルブルク
フィルハーモニー交響楽団

チャイコフスキー選集 l&ll

サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団


[指 揮] ユーリ・テミルカーノフ
[ピアノ] デニス・マツーエフ ★(11/2のみ出演)

2008 11.1(土)2:00pm
チャイコフスキー選集 I

交響曲 第4番 ヘ短調op.36
交響曲 第5番 ホ短調op.64

2008 11.2(日)2:00pm
チャイコフスキー選集 ll

ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調op.23 ★
交響曲 第6番 ロ短調「悲愴」op.74

ザ・シンフォニーホール


座席:A席1階L列27番



 この秋、私が最も楽しみにしていたサンクトペテルブルク・フィルの演奏会に行ってきました。2日にわたり、チャイコフスキーの後期に作曲された3大交響曲に加えピアノ協奏曲第1番を披露するという、体力勝負のタフなコンサート。今回の来日では、幾つかある公演中で大阪会場だけにこれらのプログラムが組まれていたので、まさに、関西に住む大のチャイコフスキーファンである私への贈り物であるかのように感じました。

 このたびの来日公演は、芸術監督/首席指揮者、テミルカーノフ氏の70歳を記念する演奏会であったようです。実はコンサート後に知ったのですが、テミルカーノフ氏と当楽団のコンビの評判はあまりよくはなかったのです。あるレビューによれば、「テミルカはサンクト・フィルを塵にした」という酷評までありました。私はそういった情報で先入観を持たなくて良かったと思います。自身の記念ということで、テミルカーノフ氏も、また楽団員たちも本当に気合いが入っていて、決して期待を裏切らなかったと言える満足のいくコンサートだったからです。

 オーケストラ編成は変則三管とでもいいましょうか。厳密には木管が二管で金管が三管。弦は「14ないし、16型」。ただしコントラバスは5プルトもありました。配置は、第1と第2のヴァイオリンが両翼に分かれ、その間に右がヴィオラ、左がチェロ。左奥にコントラバスが配置されていました。木管パートは弦パートの後部で、その右隣に金管パート。木管パートの後部にパーカッションという配置でした。

11月1日(土)
交響曲第4番

 聴衆の入りは全席の3分の2程度。満席で最良の響きが実現できるホールだけに不安でしたが、問題はなかったです。冒頭の金管パートによる力強いファンファーレは、とても気持ち良く響き、すんなり音楽に入ってゆくことができました。弦パートの気高い音色と相まって、第1楽章はとても厚みのあるサウンドを楽しめました。

 第2楽章は、通常よりも緩いテンポで進んでゆきました。しかし、決して間延びすることなく、むしろじっくりしみじみと心に染み入るかのように、味わい深く聴きかせてくれました。

 弦楽によるピッチカートで彩られる第3楽章は、あたかも雨だれが音楽を奏でているかのよう。じめじめとした梅雨の時期に、心地よさを求めて再び聴いてみたいと感じました。

 そして、最終楽章。ここはとにかくド派手なお祭り騒ぎにも似た音響効果で、我々聴衆の感情を高ぶらせる爆演でした。コーダまで一気に駆け抜けて曲が閉じられると、その瞬間、客席のあちらこちらから「ブラヴォー!」の大歓声が浴びせられました。私も何度も叫んでしまいました。本当に大興奮の演奏だったのです。

交響曲第5番

 第4番の後に休憩を挟んで第5番を演奏するという、普通ではあり得ない大曲の連チャン。旧レニングラード・フィルの指揮者のムラヴィンスキー氏は、チャイコフスキーの後期交響曲の中でもこの曲を最も得意にしていたといわれます。では、テミルカーノフ氏はどうか。

 結論を言えば、ムラヴィンスキー氏の演奏が一糸乱れぬ「厳格さ」を特徴としているのに対し、テミルカーノフ氏の方は「開放的」。でも、締まりのない演奏ということではなく、自由な表現力が備わった感じです。

 それにしても、この曲は本当に傑作だと思います。そして、実際の演奏も感動的でした。今回は座席が比較的に良かったからか、オーケストラの響きが立体的に耳に入ってきて、それぞれの楽器の音と音が交わり合うのが肉眼で見えるかのようでした。

 第1楽章の弦の合奏による第2主題は、甘美な気分に満ちていて、いつものように目に涙がにじんできてしまいました。第2楽章のホルンによるソロは秀逸。存在感にあふれていました。ワルツを特徴とする第3楽章は、心が踊るの感じました。そして、最終楽章は、それまでの全楽章でも用いられた「運命のモチーフ」が導入部で堂々と弦パートにより、また終結部でも金管パートにより、いちだんと力強く響きわたって、高らかに全曲を締めくくりました。ここでも「ブラヴォー!」の嵐。ほぼ完璧な演奏で我々聴衆を魅了してくれました。

 第1日目終演前のアンコールは2曲で、エルガー作曲の「愛の挨拶」と、チャイコフスキー作曲の「くるみ割り人形」から「トレパック」でした。

11月2日(日)
ピアノ協奏曲第1番

 前日と比較して、この日は全体の5分の4の座席が埋まりました。1階は、ほぼ満席状態。さすがに定番の有名な2作品は人気があります。ただ、音の響きは1日目の方が良かった気がしました。やはり、ほど良い音響効果を得るには全席を満たす必要があるみたいで、中途半端に人が多くてもダメなのかもしれません。

 さて、ピアノ協奏曲のソリストはマツーエフ氏。彼は、1998年第11回チャイコフスキー国際コンクール、ピアノの部門で優勝した実力派。とにかく、このピアニストの演奏は豪快です!打音に物凄い迫力があり、あたかもピアノはうなり声をあげているかのようでした。泣き叫ぶピアノ協奏曲を、私は初めて聴きました。でも、決して品を損なうような演奏ではなく、計算された繊細さが随所に表われていました。

 アンコールに、グリーグ作曲「ペール・ギュント」“山の魔王の宮殿にて”(ギンズブルク編曲)が披露されました。豪腕を放つマツーエフ氏らしい演奏で、大いに聴衆の興奮を誘っていました。

交響曲第6番「悲愴」

 いよいよ、この名曲の登場です。チャイコフスキーを始めとし、伝統的なロシア音楽を得意にしているテミルカーノフ氏。果たして名演は聴けたのか。

 第1楽章のテーマは鬼気迫る悲愴感。これが克明に表現できていればマイベスト。序奏の後の弦による悲しみが押し寄せてくるのを思わせる第1主題。う~ん、ここはもう少しだけ勢いが欲しかったですね。しかし、中間あたりで局面の変わった後の慟哭にも似た旋律は、非常にドラマティックな音作りが施されていて、心打たれる思いがしました。

 変則的なワルツのリズムを刻む第2楽章。曲の前後で優雅なダンスを披露するも、何となくぎこちない。よって中間部の不安げなメロディで悲しみの森に迷い込んだ雰囲気に。こうした流れが自然な音楽を展開していました。これは表現力の勝利です。

 来た、来た、来た!爆演の第3楽章。弦の力強く勇ましい行進。それに対して、木管が少し弱い気もしましたが、天に突き抜けるような金管の響きが最高!もう、言うことありません。

 さあ、最終楽章です。ここは、いつどこで聴いても感動できるのですが、これまで聴いた中で、今回のサンクトぺテルブルク・フィルの演奏が最も心に染みました。あぁ、本当に美しく感じ切ない思いにさせられるほど、深くて重くて濃密な音色が強く耳の奥に刻み込まれた思いです。実際、静かに曲を閉じた後の聴衆の歓声は尋常ではなかったのです。

 そして、アンコール。エルガーの「エニグマ変奏曲」より“ニムロッド”。ゆったりとした音楽に、ただただ聴き入ってしまいました。

2日間の演奏会を終えて

 かの巨匠ムラヴィンスキー氏が、50年の在籍期間に築き上げた旧レニングラード・フィルの伝統は、今から20年前にテミルカーノフ氏へと渡されました。彼が新しく就任してしばらくはオーケストラの響きも不安定であったようです。でも、楽団員のほとんどが入れ替わった20年後の今、往年の“鉄壁のアンサンブル”は回復しつつあるように、このたびの演奏会を聴いて感じました。開放的ではあるものの、縦の線をきちんと合わせて締りのある音楽を展開させ、なおかつ表現力の豊かさをアピールしてくるあたりは、さすがだなと思いました。

 チャイコフスキーの後期交響曲を通してライヴで楽しめたこと、これ自体が貴重な経験で、感動と興奮を誘いました。今回の公演で最も良かったと感じた演奏は第4番。その次が第5番あるいは6番「悲愴」でした。特に名演を期待していた「悲愴交響曲」は、これまで聴いた中で、最も安定した演奏に思えました。ただし、名演宣言は、あえて控えさせていただきます。数年後、さらに磨きをかけて作り上げたものを聴いてみたいからです。次の来日で、ぜひともより大きな感動を私に体験させてください。


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Last updated  2008年11月07日 01時30分02秒
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