2006/01/24(火)00:08
堀江社長逮捕!彼が熟知していたもの、わかっていなかったもの
先ほど、ライブドア社長堀江貴文容疑者逮捕の報が駆け巡りました。
実は、数ヶ月前に図書館で予約し、やっと順番が回ってきた同氏の著作『100億稼ぐ仕事術』をちょうど読んでいるときに一連の「ライブドア・ショック」が起こりました。
2003年12月に出版されたこの『100億稼ぐ仕事術』ははっきり言って名著です。
そして、当時、同氏の会社名は未だ「オン・ザ・エッジ」だったことに改めて驚かされました。
本書を読むと、彼のビジネス哲学は極めて優れており、一貫していることがわかります。
メールの読み方・利用の仕方といった瑣末だと考えられがちなところにも彼のこだわりと独自のノウハウを持っており、起業の仕方から、事業の拡大の仕方まで、非常に優れた分析力と着眼点をもっていることがわかります。
また、当たり前のことをいかに当たり前にちゃんとこなすことが大切かということも重要視しています。
そして、根っこにあるのは、世間でよく言われる「カネさえあれば何でもできる」的なスタンスではありません。
日本では「お金を稼ぐ」ということが、未だ「汚い」ことと思われがちであるが、江戸時代の「士農工商」といった身分制度の中で、「商人」を無理やり一番下においていたことや、「政商」と呼ばれる人たちが、政治家と結びつくことで巨万の富を得ていたことに由来するのかも知れないということにも同書は触れていますが、お金が重要であることは間違いありません。
そして、彼はこう記述しています。
「夢を実現する」ためには、まずはお金が必要だ。そして、お金を稼ぐためには事業をやるのが一番手っ取り早い。
この記述こそが、彼の経営スタンスの根幹なのだと思います。
そして、本当に彼は夢を実現に近づけようと邁進してきました。
私も目標を実現するために、事業を成功させようとしている。
「宇宙を自由に旅したい。そのために宇宙旅行会社を作る」
彼は、そのためには、宇宙工学の研究者になるのではなく、事業者になって資金を稼ぐことが必要と考えているのです。
そして、彼は「情報」、「時間」、「人間関係」も非常に重要視し、独自の哲学を持っていることが読み取れます。
それらを通じて、彼は、「社会」と「経済」を熟知し、「自由主義経済の仕組み」を熟知し、そして、「株式市場や証券取引法」と「その抜け道」を熟知し、最大限利用してきたのです。
しかし、その一方で彼は「人の心の機微」というものをあまりわかっていなかったのではないかと思います。
彼が、もう少し「人の心の機微」をわかっていたなら、彼のやってきたことも世間の支持を受け、より良い形で実現していたであろうことを考えると非常に残念です。
また、彼は、こうも書いています。
商売にはゲーム的な要素も大きい。たとえ敗者になったとしても、リスク管理をきちんとしておけば身ぐるみをはがされることはないし、たとえはがされたとしても命までとられることはない。通常個人保証や違法行為をしていなければ、株式会社の株主や経営陣の「リスクは有限」であり、投資した金額や報酬以上の責任を問われることはない。
今回、彼は違法行為を行なったとされていますが、ゲーム的な要素に心を奪われ、自分自身で記していた「戒め」を忘れてしまっていたのでしょうか?
商売で失敗するのは、基本を押さえていなかったり、景気が良くなって基本を忘れてしまった場合が多い。最初はしっかり基本を押さえている人も、好事魔多しとうか、お金が集まるといい気分になってしまう。そうならないためには、「常に基本を押さえる」ということを呪文のように唱えるしかない。(中略)
当たり前のことを当たり前にできなくなる瞬間というのは、周りの意見に惑わされているケースが多い。
この名著を彼自身こそが読み返していなかったであろうことを非常に残念に思います。
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