ヴェローナは、ちょうどサン・マルコのお祭りということで、広場で市が立っていて、たいそう賑やかだった。「ロミオとジュリエット」で有名なこの都市は、ローマ時代の遺構があちこちに残っている古都で、そのひとつのアレーナ(円形競技場)は、ヴェルディの「アイーダ」の初演が行われた場所であるそうだ。
街中に、ジュリエットの家というのがあり、そこでのガイドさんの説明によると、モンタギューとキャピュレットの争いは、実はローマ教皇と神聖ローマ帝国皇帝との争いの代理戦争であるという。ロミオとジュリエットの家は、それぞれの勢力のヴェローナにおける元締めであり、それゆえの不倶戴天の間柄であったのだという。
わたしが知っているのは、フランコ・ゼッフィレリの「ロミオとジュリエット」で、ひたすら甘く、純粋な恋人たちの悲恋と言う程度であったので、この説明はとても新鮮なものだった。
ジュリエットの家というが、実際にこの悲恋物語があったかどうかはわからないし、有名なバルコニーもあったが、この部分は後年の付け足しであるそうで、ちょっと興ざめである。
建物の入り口にこのジュリエット像があるのだが、胸のところが剥げている。これは、ジュリエットの胸に触ると恋が成就するとの言い伝えがあり、訪れる人が触っていくからだそうである。