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カテゴリ:旅
繚乱たるローズガーデンに別れを告げて、先を急ぐことにする。 目的地は 起雲閣 海運王と呼ばれ、昭和9年には鉄道大臣に就任した内田信也氏が 母の静養のため建てた数奇屋造りの別荘部分 そして、東武鉄道社長の根津嘉一郎氏が、土地・建物を買い取り 昭和初期に建て増した洋館とロ-マ風呂 昭和19年に根津家よりこの別荘を譲り受けた桜井兵五郎氏が 旅館部分を増築して 高級旅館「起雲閣」と名づけて経営 舟橋聖一、武田泰淳、三島由紀夫等の文学者がここで執筆したり 王将戦の会場となったり 数々の逸話に彩られた建物である。 不況のせいで競売物件となったこの建物を 熱海市が購入し、市の文化財として公開し、我々も自由に観覧できるようになった。 わたしが一番好きな根津別邸の数々をご覧ください。 根津別邸の面影を残す ステンドグラスやサンルーム、シャンデリア
釈迦三尊を形作ったマントルピース。柱は手斧で削る技法が用いられている。 正倉院の古代錦を復元した龍村織物の布が壁紙として用いられていた。 窓にはめられているステンドグラスも、見事。 お金持ちの友人の家にご招待を受けたような気分で、 同行の友人と、「いつまでも、ここにいたいね」と話していた。 友人の話では、京都の名洋館建築「大丸ヴィラ」よりも 起雲閣のこの洋間のほうが立派だとのこと、 このようなすばらしい文化財を散逸の運命から救ってくれた 熱海市に大いなる感謝を捧げたい。
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