FANTA-G

2012/04/20(金)08:42

うんうん。そういう理屈はいいから

 先日ご紹介しましたマンガ「予告犯」の冒頭シーンでは、ある中学生の部屋への家宅捜索から始まります。容疑は「市販ゲームの無断配信」。いわゆるマジコンを使って遊ぶためのデータを配信していたHPを作っていた犯罪者なのですが。  大勢の捜査員に部屋の中を調べられている時、その男はブツブツと言います。 中学生「クソゲーを作っている消費者を舐めたメーカーが悪い。権利権利うるさいことを言っているから日本のメーカーは遅れていくんだ!面白ければゲームは売れる!自分はそんな企業に制裁をくわえる為にボランティアで・・・」 捜査員「じゃああなたがアフェリエイトで広告収入を得ているのはどう説明するの?」 中学生「それは・・・自分を支持する人間からのお布施であって。現に自分は多くの人間から支持されている」  そこでスマホからこの事件に対してのツイッターの反応を見ます。そこには「ざまあ!」「犯罪者乙!」「メシウマ!」といった、今まで自分を神だのなんだの支持していたと思っていた人間より多くの罵声と嘲笑。結局、そういう誰かもわからない連中から利用され、都合よく祭り上げられていただけだったという事実を見せ付けられる。  かっこよく「社会正義のために!」とネットで叫んでいた人間も、いざ、リアルで警察に踏み込まれ、現実に「犯罪者」として自分のこれからの人生が目の前で崩壊していく姿に愕然とする。しかも、それまで自分を支えてくれていると思った人間にも裏切られる。  捜査官は冒頭にすごく簡単なことを言います。 「噛み砕いて言うと 勝手にゲームのデータぶっこぬいて放流してんじゃねえよ、コノヤローって話ね」  ここなんです!一番大事なところは!四の五の理屈をつけたところでこの言葉以上の価値はない。  現在、公式HPから第一話がためし読みできますが、ぜひ読んでみてください。きっとこの思想の醜悪さと同時に「都合のいい人間は都合のいい時だけ支持され、使えなくなったら笑いものとしてボコボコにされる」という匿名社会の業、みたいなものを強烈に見せ付ける作品です。  

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