お父さんから子供たちへ

2024/07/20(土)00:10

コンサルタントの話術

思い出(社会人・海外)(1086)

 先日地元の経営コンサルタントの講義を受けた。会社にコンサルタントに来てもらい、会社の該当者数人で話を聞いたのだが、非常に感銘を受けた。講義の内容も悪くないものであったが、まだまだこれから具体的にどういうことを実施するか決めていき、実際に活動し、結果を見るまではコンサルタントの実力はわからない。  お父さんが感銘を受けたのは、コンサルタントの話術にである。人を引き付ける魅力にあふれた話術に聞きほれてしまった。お父さんには到底まねできないレベルの大胆かつ繊細、さらに皆の気持ちを高ぶらせる絶妙な話しぶりであった。  まず第一に、きちんと反芻してみると何も根拠が示されていないと気がつくのだが、「できますよ」という言葉を雰囲気で信じ込ませてしまう話術を持っている。そのコンサルタントの人自身が言っていたのだが、話術を若い時から勉強しかなりの投資をしてきたそうだ。 質問や考える時間を与える前に、どんどんと話を進めていかれる。見た目の雰囲気も軟らかくそれでいて自信にあふれているので、ただ話を聞いているだけだと「そうなのかな」と彼の話を信じてしまうのだ。本当によく勉強してきた人なのだと感心してし合った。  ところどころに繰り返し挿入してくる「私は結果を出してきた」「私は皆さんの想像を超える勉強をしてきた」「私の指導を受ければ失敗することはない」という文章にしてしまうと「俺はすごい」と言っているように見える言葉を、聞き手側のお父さんたちを全く嫌な気分にさせずに話すことができる。  こちら側が質問をすると、一言目が「それは大丈夫です」「心配はいりません」という言葉から始まる回答で、自信満々に説明をしてくれる。懐疑的だったコンサルタントへの印象が、話を聞いているうちにどんどん「もっと聞きたい」になっていった。  こちらの情報を聞き出すのも実に上手で、参加者には普段自分の意見を言わないイメージの人もいたが、本当に言葉巧みにその人の思っていることや意見を引き出していて、この同僚はこんなに自分の意見を言うことができるのかと感心してしまったほどだ。  冷静に考えれば、自分の意見はかなり否定されていることに気がつくのだが、その場では気がつかないようにする話術もすごかった。どういう風にと具体的にここに書くことができないのだが、それこそが彼がもつ話術のすごさだと思う。 お父さんもいくつか質問をしていたが、あとから考えるとお父さんの考えの単純否定だったり、理論のすり替えが行われていたと気がついたが、リアルタイムでそのことに気がつかなかった。どちらかと言えばお父さんの意見を肯定していると錯覚させられていたと言っても間違いではない。  誰でも訓練すればできるようになるとも言っていたが、彼の話術をそのまま同レベルで実行できる人が、訓練すればいくらでも生み出せるという彼の話は信じられない。今まであった人の中で、抜群に自分の話を人に聞かせるのが上手い人だった。 最後に、同じ仕事をしているひとが会社に何人いるかと尋ねたところ、彼が筆頭で一人でやっていて、あとの社員はサポートだと話してくれたので、やはり同じことができる人を彼の下で育てることも難しいのだろうとお父さんは判断した。  あんなに話術が巧みであれば、人づきあいも苦にならないだろうとうらやましく思った。ただし、本心から出ている言葉でなかったとしたら、仮面をつけた自分を好きになられてもと思うだろうから、幸せな人とは言えないかもしれない。お父さんは最終的な判断としてあそこまでの話術は自分には要らないと感じてしまったが、これが嫉妬ではないと否定できる確信はない。お父さんも結構面倒くさい人間である。

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