知人の経営者に頼まれて、とある月刊の業界雑誌に「房総半島にあった鉄道・南総鉄道」を書いた。近々雑誌が発刊となり、発刊後にはPDFにて公開する予定だが、なぜこの鉄道について書いたのかちょっとだけ触れておきたい。南総鉄道は昭和初期、千葉県の茂原から長生郡の笠森を結んでいた鉄道である。地元在住の郷土史家でも全く知らないことだが、じつこの鉄道、経営していたのは福井県の企業であった。社長に地元の名士を据えていたため、今日まで、その事実が全く取上げられることはなかったが、営業報告書の株主名簿を見れば一目瞭然である。地元関係者に対して、福井県の企業関係者やその姻戚関係にある兵庫県在住者が大きなウエイトを占めていることがわかる。
僅か8年で廃線となったため遺構も十分ではないが、廃線跡ブームに乗って、ネットなどでは探訪記事がチラホラと見られる。この鉄道、前身に人車軌道があり、また建設には鉄道連隊がからむなど、一部のマニアを引きつける魅力があるのだろう。ただ廃線跡レポートはどの路線についても言えるが、その経営にあった企業人の思想に踏み込むことがない。今回の原稿にも雑誌の性格上そこまでは踏み込んでおらず、別の機会に是非取上げてみたいと思っている。
単なる廃線レポートでは、そこから得られる教訓はほとんど無いから。
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