ロイ・キーンのユナイテッド退団に想う
■退団決意の心境とは 電撃的にマンチェスター・ユナイテッド退団を発表したロイ・キーン。その胸中とは……【 (C)Getty Images/AFLO 】 「mutual consent」――相互の合意。プレーヤー、マネージャー、あるいはダイレクタークラスでも誰でもいい。当人が慣れ親しんだ(“そうでない”場合もあるが)クラブを去るに当たっての公式発表に決まって登場する、いかにもそっけない常套(じょうとう)句。企業風に言えば、円満退社。円満? 本当に? わずかなりとも「しこりや後腐れはない」と、関係者全員が誓って言えるケースが、果たしてこの人間界にあるだろうか。 それでもあえて「ロイ・キーン、突然のユナイテッド退団」を“優しい”視点で分析してみるとしよう。 そろそろ、体の方も以前ほど言うことを聞いてくれなくなってきた。実際に、故障が長引いてチームに迷惑をかけている。この先、戻ってもろくに戦力になれないかもしれない。それに、もうこのクラブで自分がやれることはそう多くなさそうだ。そう思ったからこそ、今シーズンいっぱいで身を引く決意を明らかにした。幸い、あのきかん気のアラン・スミスが人が変わったようにけなげに“後を継ごう”としている。まだまだ甘いが、ヤツの心根だけは買える。ルーニー、ロナウド、フレッチャー……チームに今若返りの波がやってきているのは明白だ。最後のチャンスだったワールドカップも“終わった”。ならば、引き時は早い方がいい……。 ざっとこんな具合だろうか。たぶん、当たらずとも遠からず。いや、その辺りで“収めて”おくに越したことはない……にもかかわらず、心のどこかに疑惑の虫がうごめくのを抑えきれないのは、やはりそれが“ロイ・キーンだから”である。