テーマ:お勧めの本(7380)
カテゴリ:本
軌道エレベータという発想は、ずいぶん昔からあり、数多くSFに利用されてきた。その軌道エレベータを工学者の立場から作っている物語は少ない。
本当にできあがれば、おそらく人類最大の人工物となる。そのような巨大なものをどうやって作っていくのか。クラークのリアリズムの世界の中で、巧みに描かれていく。 どこに作るか、その土地をどう取得するか、その大問題から物語がはじまる。 現在のスリランカの、ある島とその山が現在(22世紀)の技術で唯一建設可能な場所となし、その山頂にある寺院との駆け引きがはじまる。 その国の王の歴史と文化、宗教など、さまざまな事象がからまりながら、物語の後半、建設がはじまる。 そして、数々のトラブルとその解決。 モーガン博士という、60代の熱き工学者を主人公に、異星人の人工知性体とのファーストコンタクトなどもまじえながら、じつに多くの要素をごった煮しながら、美しいSFが展開していく。 クラーク最後のSFと位置づけられる本作品は、やはりクラーク宇宙史の集大成なのだと満足できる作品といえる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 12, 2005 12:46:49 AM
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