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November 25, 2006
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テーマ:お勧めの本(7380)
カテゴリ:


本書は、数学界最大の難問といわれた「フェルマーの最終定理」が解かれるまでの、数々の数学者の人生ドラマと、数学の歴史をつづったノンフィクションである。

定理およびその証明についての詳しい説明は、下記の参考リンクにゆずるとして。
本書の最大の魅力は、やはり数学者という人間を描き、その時代背景を描き、そして数学的技法を描いていることだろう。
フェルマーが登場してくるのは、1/3ほど読み進んだところである。
古代ギリシャのピタゴラスにはじまり、数学の歴史を紐解きながら、時系列とともに、さまざまな数学者が、心踊るエピソードと共に登場してくる。その接続の語り口が、とてもうまく、ぐいぐい読ませてくれる。
小難しい証明など、ドラマの興をそぐ部分は、巻末にまとめらており、数学理論そのものに興味の薄い向きにも、親切な構成になっている。
また、ポイントとなる重要な理論の基礎となる理論や考え方を、時系列とは別に直前に説明してくれている。こうした、シロウトにわかりやすく難解な理論を記述していく工夫が、文章の構成から、使用している単語から、細部にわたり気配りされている点もすばらしい。

最大の難問にチャレンジをし、志半ばで挫けていった人、誤りを発表した人、自殺した人。そのような数学者が多数いたことは、読み始める前にも多少想像できると思う。しかし、このフェルマーの最終定理に、命を救われた人が、少なくとも一人だけいるのだ。
こうしたミステリーを、是非堪能してほしいと思う。
そして、本書は数学を愛する人にはもちろん、数学って苦手、という人にも是非読んでいただき、なぜ数学は楽しいのか、人生をかけてまで打ち込む価値があるのか、ということを体感してほしい。

半分ほど読んだあたりで、物語は20世紀に入り、フォン・ノイマンやアラン・チューニングなど、コンピュータ技術者にとって慣れ親しんだ人々が出てくる段になると、数論の応用として暗号論が出てくる。数学という学問が、直接的に社会利益に与しためずらしい例である。
そこでふと気づいたのが、本著者は以下の本の作者でもあった。

『暗号解読』サイモン・シン /青木薫 新潮文庫(2001/07)

サイモン・シンは、『フェルマーの最終定理』を出版した後、暗号部分にフォーカスした『暗号解読』を出版したようだ。
この『暗号解読』は、一年ほど前に読んでいて、やはりすばらしくおもしろく、感激したのだ。ブログには書かなかったが・・・。

一般的に数学というと、数式の塊を想像し、そこから連想される論理性・緻密さといった、左脳的機能だけを使っていて、いわゆる文系的・芸術的な右脳的機能とは対極に位置する学問と思われるいるだろう。
しかし、本書や『暗号解読』を読むと、思いつき、ひらめき、直感、といった右脳的言葉が頻出する。
どんな分野でも、クリエータにとって大事なのは、最初のひらめきであり、直感なのである。
ミステリー作家がトリックを思いつく瞬間、マンガ家がアイディアを思いつく瞬間、数学者が解放を思いつく瞬間、やはりそこにドラマがある。
こうしたすばらしき瞬間を、数学の歴史を通して幾度も味わうことのできる、すばらしい本である。


参考リンク
この定理の概要はwikipedia フェルマーの最終定理

この定理の詳しい説明は第三の理
その他
YAMDAS Project
すみ&にえ 「ほんやく本のススメ」





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Last updated  November 25, 2006 12:17:52 AM
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