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2020年01月09日
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カテゴリ:陽明学


月岡芳年『大日本名将鑑』「八幡太郎義家」
Tsukioka Yoshitoshi "Hachiman-Taro Yoshiie"

 


 一 心友問う。先度〔せんど〕、弓を小者に持たせる者を戒め給いしこと、
道理至極ながら、今時〔いまどき〕の武士は他行〔たこう〕に手づから持ちがたし。
一僕の小身者は弓矢もことごとし。しかれば、弓の稽古もやむに近し。
如何〔いかが〕し侍〔はべ〕らんや。
 
 曰く。先度は、武士の弓を尊ぶの大義と心がけの道を申し侍り。
まことに、門〔かど〕をならべ、いらかたちつづきたる隣りありきには、
手づから持ち侍るとも何のやくもなく、かえりて人の目に立つこともあらん。
小者一人に弓立も過ぎ侍らん。
か様の事にも時・処・位あり。
弓矢を尊ブ心の誠だにあらば、はきかえのぞうり木履〔ぼくり〕もたせず、
みづからはきたるばかりにて、出〔い〕でざまに手をあらわしむるか、
弓矢を紙にまきてもたしむるか、いかようにもなるべきことなり。
弓矢は八幡太神宮ののりうつりおわします神器といえり。武神の舎〔しゃ〕なり。
尊信の誠〔まこと〕明らかならば、
今の時・所なりとも、みづから持ちても目にたたぬことあるべし。
世界は我が心の誠よりなりて、我が世界となるものなり。





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Last updated  2020年01月10日 03時21分19秒



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