2020/03/02(月)07:00
【人生のリセット】
【人生のリセット】
★木村政雄氏の言葉から―
◎中村獅童さんは、私が今もっとも注目している俳優さんの一人である。
彼は歌舞伎の名門の一家に生まれたが、子供のころに父親が歌舞伎の世界を
飛び出してしまった。
歌舞伎は親から子へと演技や所作を伝承するものなので、早々と頼みの綱を
失ってしまったのである。
祖母が演技を教えてくれて、舞台に立ち続けたものの、その他大勢の役ばかり
で一向にチャンスが回ってこない。
これではいけないと、彼は現代劇に目を向けたのである。さまざまなオーディ
ションを受け、ようやく合格したのが映画『ピンポン』だった。
それも無名の人たちと一緒になってオーディションを受けたのである。
彼は『ピンポン』のドラゴン役で強烈な個性を発揮し、その年の映画祭で新人
賞をもらい、ようやく世間に認められるようになったのである。
そのとき、彼は29歳。遅咲きのデビューといえるだろう。
エリート路線を突っ走っている多くの歌舞伎役者より、下積みを体験している
獅童さんのほうが、よほど魅力のある演技をしていると思う。
「正」という字は一回止まると書く。
人生は走り続けるばかりでなく、一度立ち止まることも必要ではないだろうか。
立ち止まると見える景色がそれまでとはまったく違う。
そこで謙虚に自分の人生を振り返り、自分とはどういう人生を送りたいのかと
考えることで、次のチャンスも生まれるのではないだろうか。
多くの人は、立ち止まるのを怖いと思っているだろう。
だが、走り続けていると、なかなかリセットできない。
ときどき立ち止まって、これまでの答えが間違っていないか、別の答えがない
かと見直してみる必要があるのだ。
(参考文献:木村政雄著
「自分をリセットしたい時に読む本」 知的生き方文庫)
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*人生を立ち止まって考えるきっかけは、実にさまざまでず。
病気になったことをきっかけに、それまでの生き方を振り返ることもある
でしょう。
あるいは、家庭の事情だったり、職場の転勤など環境の変化をきっかけに
見直すこともあります。
著者のいうリセットは、ゼロにするということより、それまでの生き方を
別の角度から見つめ直して整理する、ということに近いと思います。
いずれにしても、リセットするには多少の勇気を出すことになります。
この勇気はいままでの自分よりも、さらに次のステップに上がるには必要な
ものです。
成長のためにはリセットする生き方を忘れない人でありたいものです。