【多くを望まず今に感謝しよう】
【多くを望まず今に感謝しよう】 荘子という古い中国の思想家が、次のように言いました。 『黄河の水辺に住むカワウソは、河の水をお腹いっぱいになるまで飲むが、 黄河の水すべてを飲み干そうとは思わない』 たくさんの水を飲んで生きているカワウソは、飲みたいだけの水を飲むが かといって、川の水を全部飲んでやろうとは思っていない。 ところが、人間はお金や宝石を持てば持つほど、欲しがってしまう。 死んだあと、それらを持って行けるはずがないのに、どうして人間は強欲なの だろうか…、ということを述べています。 荘子は、このように人のあるべき姿を示した人物です。 よく、「あの人は世間知らずの、井の中の蛙のようだ」ということを言います。 これも、荘子の「井の中の蛙、大海を知らず」という言葉からきています。 荘子の本心は、お金がなくて恵まれず見た目は貧乏であっても、多くを望まな ければ幸せに暮らしていけるものだ、というところにあります。 あれも欲しい、これも欲しい、と欲張って生きていくと、欲望に振り回されて、 最後は、人生で何がいちばん大切なものかを知らずに死んでしまう、と説いて いるのです。 これは、「当たり前のことに感謝できないと、幸せにはなれない」、ということ と同じです。 「当たり前」の基準は、人によって違っています。 たとえば、世の中は思い通りにならないのが当たり前だ、という考えで生きて いる人にとって、ちょっとでも思い通りになると、有難い、嬉しいという気分 になることができます。 もともと思い通りにならない人生が、何か小さなことでも思い通りになったら そのときは生きているのも意外といいものだな、と受け止めるのです。 お金がたくさんあるのが当たり前なら、貧乏はつらいものになります。 しかし、貧乏が当たり前なら、お金があれば有難く、嬉しく感謝できます。 感謝できること、これは幸せであるということなのです。 このように、自分の心の基準によって、幸せか不幸せかの受け止め方は違って きます。 不平や不満を感じるのは、心の基準が現実よりも高いところにあるからです。 心の基準は自分で決めることができます。 心の持ち方しだいで、人は幸せになれるのなら、まず今の生活を基準に置き 感謝するクセをつけましょう。 感謝することを当たり前にすれば、不平不満も少なくなり、心穏やかに生きる ことができます。 (by ハートリンクス)