森田理論学習のすすめ

2021/02/03(水)06:33

全国高校駅伝を観戦して感じたこと

森田番外編(348)

昨年12月20日、広島の世羅高校が、全国高校駅伝で男女とも優勝を果たした。 その日はテレビで観戦した。 下馬評としては女子は、鹿児島の神村学園と仙台育英高校が優勝候補だった。 男子は、佐久長聖と仙台育英が優勝候補の筆頭で、世羅は二番手と紹介されていた。 そんな中で男子は10回目の優勝だった。女子は2回目だった。 勝因を分析してみた。いづれもケニアからの留学生が男女とも1名入っている。 二人の活躍なしでは優勝はなかったといえる。 現在は強豪校といわれるほとんどの高校にケニアからの留学生がいる。 日本人だけのチームでは優勝することはほぼ不可能となっている。 そのやり方はおかしいという人もいるが、優勝を目指している学校はどういう選手を留学させるかが戦略としては重要になる。世羅高校もずいぶん前から受け入れている。 太いパイプができており、卒業後は日本語をマスターして実業団選手として活躍している。 さらに世羅町民とっては、世羅高校の活躍は誇りであり、物心両面での援助を惜しまない。 陸上競技部のOB、OG、卒業生などと一体となって応援している。 その中には、実業団の監督や選手、大学の監督や選手も多数含まれている。 宿舎の賄、1周2キロのクロスカントリーの専用練習場の清掃や整備は近所の人たちのボランティアである。 次に監督やコーチによる選手の指導、目標の立て方、他校の分析などが重要になる。 選手同士は、お互いライバルとして切磋琢磨し、能力の向上に取り組んでいる。 スーパースターがいるだけでは、全国制覇は無理なことが分かっている。 選手同士の一体感を作り上げることを目標にしている。 京都のコースの研究、当日の気温、天気、他校の動向などの情報も有効だ。 またサポーターが沿道に立ち、目標タイムとの誤差の情報を選手に伝えている。 男子の場合、今回は2時間1分台が優勝するための条件だと思われていた。 選手たちは世羅高校自身が5年前に出した大会記録2時間1分18秒の更新を目標としていた。 この目標を共有化して、マスコミのインタビューに公開していたのが印象に残っている。 全国の舞台に立つことで満足していたわけではなかったのだ。 結果は記録更新はならなかったが、2時間1分30秒だった。 記録の更新に今一歩だった。 どこにどんな選手を配置するのかは、監督やコーチ、選手自身の腕の見せ所になる。 男子の場合、京都の都大路では7名でタスキをつなぐ。 他校ではレギュラーになれる力があっても、控えに回る選手が多数出る。 そういう選手が裏方として役割を果たすことが大切になる。 控えに回った選手が、やる気をなくしてはチームは一体になれない。 県大会などは、控え選手を積極的に起用している。 1区10キロ。ここは全国の高校長距離界のつわものがそろう。 何しろ5キロを13分台で走る選手が10名以上もいるのだ。 これはとてつもなく早い。ちなみに私の高校時代は20分くらいだった。 これでは5キロ区間で2キロ以上離される。1区で離されては優勝には届かない。 飛び出していく選手もいるが、それを追いかけていくと最後に失速する。 先頭集団にいて、優勝候補の仙台育英や佐久長聖の選手に離されないことが目標になる。 最後まで後ろについて、余裕があれば最後で初めて勝負するという戦略だ。 これが達成できれば1区の責任は全うできる。 それと7キロから先は急な登りとなる。ここで踏ん張る力が必要になる。。 後半の坂に備えて力を温存できるかどうかがカギとなる。 世羅高校は1区を何とか9位で通過した。 ここを想定通りに通過したことが勝因の一つとなった。 2区と5区は3キロと短い。ここはスピードランナーを起用する。 最初からエンジン全開で走り抜ける必要がある。 ペース配分よりも一人でも抜いて順位を上げる戦略になる。 ここはいずれも区間5位と予定通りであった。 一番重要な区間は3区と4区だといわれている。 いずれも8キロ前後だ。ここに一番力のある選手を起用することが優勝条件だ。 3区は全体的に登り坂になる。馬力のある選手の起用が欠かせない。 世羅はここにケニアの留学生を置いた。 他行の有力校もここにケニアの留学生をあてていた。 世羅高の留学生は予定通りの走りを見せて2位に55秒の差をつけた。 優勝がほのかに見えてきた瞬間だった。 次の4区は下りになる。3区の次に最重要区間になる。スピードが求められる。 またコンスタントに1キロ2分45秒から50秒のラップを刻む選手が求められる。 世羅はキャプテンを配置して万全を期した。 ところが現実は腹痛を起こして、横腹を抑えながら走っていた。 ここでさらに差を広げる戦術だったが想定外のことが起きた。 スピードに乗らなかった。誤算に終わる。 区間13位に終わり、仙台育英などのチームの逆転優勝の可能性が残された。 6区と7区はいずれも5キロである。 6区は下り、7区は平たんなコースとなる。 いずれも練習で身につけたペース配分を確実に守る走りが求められる。 世羅は6区14分41秒で全体6位、7区は14分20秒で全体3位だった。 仙台育英高校に14秒差まで追い込まれたが最後はなんとか逃げ切った。 レースを振り返ってみて思うことは、目標を明確にして、それをチームで共有化して、全員が一枚岩となって取り組むことが何よりも大切であることを教えられた。 私も生きる勇気をいただいた。

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