2021/03/23(火)07:56
ワインの世界に触れて感じたこと
世の中には珍しい同好会があるものである。
ワイン好きの人が1か月に1回集まって高級ワインを味わうという会がある。
会員の紹介があったので特別に参加させてもらった。
正式メンバーは固定されているので、今回限りの参加だと言われた。
一人2000円から5000円程度出して、高級ワインを1本だけ買う。
一人では無理でも、人数が集まれば高級ワインを味わうことができるのだという。
買い求める人は順番制になっているという。
そのワインを開けて試飲して、感想を述べあうのである。そして評価をおこなう。
歴史、産地、生産者、原材料となるブドウの種類、醸造法、ワイングラス、貯蔵などにやたら詳しい。それから、個人が今後期待しているワインについて意見を述べる。
現在所蔵しいているワインを紹介する。普段飲んでいるワインの特徴を紹介する。
ワインにまつわる情報や知識を拡げながら、素敵なワインに出会えることを夢見ているのである。決してワイン好きな人が、心ゆくまでがぶ飲みするような会ではない。
そのため3時間ほどで終了となった。
華やかな香り、柔らかな酸味、まろやかな渋みを味わいながら、至福の時間を過ごそうというのである。そういえば、集まっている人はなんだか雰囲気が違う。
これは場違いなところに来たと思った。話がかみ合わないので聞くばかりである。
ここに集まっている人たちは、生き方や考え方が精錬されているように感じた。
普通の人を寄せ付けないオーラ、人間味を醸し出しているように感じた。
私は今までワインは好きではなかった。
1000円以下でコルクもついていないようなワインばかり飲んでいたため本物の味が分からなかったのだ。ワインは、ビール、清酒、焼酎、高級ウィスキーの足元にも及ばない飲み物だと思っていた。ポリフェノールが豊富で体によいので、我慢して飲むものだと思っていた。
それは間違いだということがはっきり分かった。その認識はすべて払拭された。
現在は、2000円程度の赤ワインを少しだけ飲んでいる。
特にアメリカ産で「アポテックレッド」というワインが気に入っている。
やや甘口で、今までのワインと比べて口当たりが全然違う。私の好みに合ったのだろう。
原料のブドウは、メルロー、ジンファンデル、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンを混ぜ合わせて作っているようだ。
フランスのボルドー地方では、このメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンが主力だそうだ。
友人に聞いたら、ワインは種類が多いので、飲み比べて自分に合うワインを見つけるのが楽しいと言われた。しかし予算もあるのでなかなか高級ワインには手が出ない。
先日なんでも鑑定団に、1本が450万円と鑑定されたワインの出品があった。
それが作られたのは、たしか1987年だった。
醸造したのは、神の手を持つと言われたフランスのアンリ・ジャイエという人だった。
フランスの東部ブルゴーニュ地方でブドウ栽培と醸造をされていた方である。
すでに故人であるが、どんどん価格が高騰して幻のワインと言われている。
この地方で作られるワインは、ピノ・ノワールという品種である。
しぶみが少なく、柔らかな酸味、華やかな香りがするという。
その中でも、アンリ・ジャイエは、化学肥料は一切使わない。
それは葡萄の根が地中深く伸びていかないからだという。
年5回土に酸素を送るために耕している。
良果を得るため収穫量を制限している。そのために徹底した間引きをおこなう。
不良な果実は絶対に使わない。その結果2割程度は廃棄している。
選りすぐりのブドウを低温深漬し、自然酵母でゆっくりと熟成させている。
そのアンリ・ジャイエが次のように語っている。
「単なる飲み物に過ぎないと考えてワインに近づいてはならない。ワインは私たちの生き方であり、人生を彩る楽しみの一つなのだから」
ブドウ栽培とワインの醸造に真剣に関わることで、人生を謳歌し、生きがいを見つけてきたと言いたいのであろう。本物は違う。
本物の生き方は多くの人に大きな感動をもたらすということだと思う。
私たちも森田理論学習によってそういう人間になりたいものです。