|
カテゴリ:ロザリアン白書
「人間関係」といういまどき流行らない博愛主義的な口実を右手に、剪定鋏を左手に持ち、ロザリアンは胸を張って庭に出る。
「あ、グローブを持って来なきゃ」と家に入る。取って返して再び庭に出たロザリアンは、一つの株の前で仁王立ちになりなぜか硬直してしまう。カキーン! なぜならば、「人間関係」のためにどの枝を切るべきか大いに迷うからである。否、迷うという表現では足りない。苦渋し呻吟すると言った方が正しいだろう。 何しろペットだからね。ロザリアンは呻吟する。そうこうするうちに容赦なく時計の針は進み、午前中が終わる。 グゥーグゥーと腹時計がウルサイものだから、ロザリアンは、渋々家に入り、取りあえず何かを胃に流し込むやいなや、再び庭に出ようとする。 掃除機は、猫にも飽きられてリビングの床の上でしどけない姿を晒しているが、それは見えないフリをしてやり過ごす。「何と言っても人間関係は大切だものね、うん。」 ロザリアンは、迷いに迷ったあげく枝を剪定し、水を張ったバケツに浸けていく。「あ、発根促進剤!」と腰を上げて家に入る。 すると猫が足にまとわりついてエサをくれと言うのでエサをやって水も変えて差し上げる。ふとテーブルの上に目をやると、まだ朝食の食器が散乱しているではないか。 ロザリアンは、 その声を全く無視して思いを巡らすロザリアン。「え~っと、何をしに来たんだっけか?」そう、発根促進剤だ。挿し木をするためにはもう少し水を吸わせた方がいいかも? 「ならば時間はある。」という限りなくロザリアン的理由によって、ようやくシンクはきれいに片付けられ、テーブルにも台拭きがかけられることとなるのであった。 「そうそう、発根促進剤とラベル!それに膝当てパッド!」ロザリアンは性懲りも無く掃除機につまづきそうになりつつも、断固として庭に出る。 神経を集中し「人間関係のための」と称する挿し木作業を終えるともう3時だ。我ながらよくやった。立派な仕事だ。何よりも発泡スチロールの箱に整然と並んだ緑の棒っきれがそれを物語っているではないか。 「では、ご褒美におやつを食べよう♪」と、家に入ったロザリアンを待っていたものは・・・・ モノというモノをひっくり返したあげく、ソファーでいかにも気持ち良さそうに眠っている猫であった。 ああ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く ラベルを作ったら、念のため糸を通して緑の棒(挿し木苗)に巻いておくと良い。 特にバラは、名前がわからなくなったら困るぅ~~! のであるからにして。 また長時間、かがみこんでの作業にはひざ当てパッドが便利ですね♪ 過去ログはこちらから ロザリアンシンドローム第1楽章 ロザリアンシンドローム第2楽章 ロザリアンシンドローム第3楽章 ロザリアンシンドローム第4章 ロザリアンシンドローム第5楽章 ロザリアンシンドローム第6楽章 ロザリアンシンドローム最終楽章 薔薇色の人生1 薔薇色の人生2 薔薇色の人生3 薔薇色の人生4 薔薇色の人生5 薔薇色の人生6 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年06月19日 21時46分58秒
[ロザリアン白書] カテゴリの最新記事
|