梅雨の色
6月に入りました九州地方は入梅したようです雨の日は雨を楽しむ・・・こんな気持ちになれたらいいなと思います。大抵の人は、暗くうっとおしく感じるのではないでしょうか・・・?雨の日が続くと、気になるのがカビと湿気ですね。気にいった作品や集めた掛け軸なんかがカビにやられないように風通しのいいところで保管してくださいねまた梅雨の晴れ間に陰干しするのもいいでしょうとにもかくにも大切に気を配ってあげるのが作品にとってはうれしいことですさて、湿気は何も完成した作品保管だけに注意することではありません・・・。何といっても作品作りにおいて湿気は「墨の色」を薄くしてしまうものなんです雨の日は、紙も湿気を含んでいます。墨もなかなか濃くならず、字が滲んでしまいますいつもより濃い目の墨で表現することが、過剰な滲みを防ぐ方法ですしかし、この滲み、嫌われがちですが私は滲みから季節感を感じます日本には四季があり作品から季節感を感じることが出来るというのも「表現」ではないでしょうか?ある中国の古典の書作品の落款に、「硯の墨も凍る冬の寒い日に書いた・・・」という一節があります。黒々とした濃い墨で粘り気を感じる文字からは、厳寒な季節を感じます墨に十色ありと言われます。雨の日には雨の日にしか出せない「色」があります今年の梅雨の色を使って夏の作品を書いてみたいなと思います