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週刊ブログ 日本の詩と男声合唱曲

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2008年06月01日
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カテゴリ:今週の詩




男声合唱組曲

 柳河風俗詩     詩:北原白秋    作曲:多田武彦



一、柳河



もうし もうし 柳河じゃ 

        柳河じゃ

銅の鳥居を見やしゃんせ

欄干橋を見やしゃんせ

(馭者は喇叭の音をやめて

 赤い夕日に手をかざす)

薊の生えたその家は 

     その家は

舊いむかしの遊女屋
(ノスカイヤ)

人も住まはぬ遊女屋

裏のBANCOに居る人は  
 ※BANCO=縁台 

あれは隣の継娘継娘

水に映ったそのかげは

     そのかげは

母の形見の小手鞠を

     小手鞠を

赤い毛糸でくくるのぢゃ

涙片手にくくるのぢゃ



もうし もうし 旅のひと

        旅のひと

あれ あの三味をきかしゃんせ

鳰の浮くのを見やしゃんせ

(馭者は喇叭の音をたてて

 赤い夕日の街に入る)



夕焼け小焼け

明日天気になあれ





二、紺屋のおろく



にくいあん畜生は紺屋のおろく

猫を擁へて夕日の浜を

知らぬ顔してしゃなしゃなと



にくいあん畜生は筑前しぼり

華奢な指先濃青に染めて

金の指輪もちらちらと



にくいあん畜生が薄情な眼つき

黒の前掛 毛繻子かセルか

博多帯しめ からころと



にくいあん畜生と 擁へた猫と

赤い入日にふとつまされて

潟に陥って死ねばよい

   ホンニ ホンニ・・・・



三、かきつばた



柳河の

古きながれのかきつばた

昼はONGOの手にかをり

夜は萎れて

  三味線の

細い吐息に泣きあかす

(鳰のあたまに火ん點いた

潜んだと思うたらちい消えた)

 

※ONGO 良家の娘=柳河方言

(   )部は童謡




四、梅雨の晴れ間



廻せ 廻せ 水ぐるま

けふの午から忠信が

隈取紅い しゃっ面に

足どりかろく 手もかろく

狐六法踏みゆかむ 

花道の下 水ぐるま・・・



廻せ 廻せ 水ぐるま

雨に濡れたる古むしろ

円天井のその屋根に

青い空透き 日光の

七宝のごときらきらと

化粧部屋にも笑ふなり



廻せ 廻せ 水ぐるま

梅雨の晴れ間の一日を

せめて楽しく浮かれよと

廻り舞台も滑るなり

水を汲み出せ その下の

葱の畑のたまり水



廻せ 廻せ 水ぐるま

だんだら幕の黒と赤

すこしかかげて なつかしく

旅の女形もさし覗く

水を汲み出せ平土間の

田舎芝居の韮畑





廻せ 廻せ 水ぐるま

はやも昼から忠信が

紅隈とった しゃっ面に

足どりかろく 手もかろく

狐六法踏みゆかむ

花道の下 水ぐるま








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最終更新日  2008年06月08日 17時38分05秒
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