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週刊ブログ 日本の詩と男声合唱曲

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2008年09月20日
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カテゴリ:今週の詩





男声合唱曲  

季節へのまなざし   詩:伊藤海彦   作曲:荻久保和明



一、ひらく

風は立ち

匂い きらめき

声ひそめ

風は吹く 吹きぬける



みえている世界のなかに 新しく

みえてくる みえない世界

鮮やかに 色をにじませ

みえてくる みえない世界



川の水 ほぐれ

種子は ほぐれ

やがてひらく 時のやさしさ

煙る梢 蝶の翅

草の花 鳥のうた

るり みどり

きいろ うすべに

しろ くれない

芽ぶき ひらき あふれるものに

ひらかれる ひとのまなざし

その眼のなかの ひらく歓び



二、のびる

陽ざし はじけ

草の穂はのび 蔓はのび

陽ざし はじけ

樹液はのぼる

葉をかさね 枝をのばし

それはのびる それはのびる

青い彼方

  ……彼方のむこうにみえてくる自分

  自分のなかにみえている彼方



鳥たちが 翼をためす

空の深さ

その空にそそり立つ 雲のまぶしさ

若い心はのびあがり

その眼をみはり

  ……ああ

  彼方のむこうの 見知らぬ自分

  自分のなかの 見知らぬ彼方



陽ざしのなかで きらきらと

すべては育ち

すべてはのびる

遠い遠い

はるかな自分に



みえる みえない

みえない みえる



みえている しあわせ

みえている ふしあわせ



みえる みえない

みえない みえる



みえてくる しあわせ

みえてくる ふしあわせ



三、みのる

……そして 今

まろく重たく 時が実る



ゆれている つぶらなものよ

穂につらなり 枝をしなわせ 房と垂れ

かがやく紅の 金の 紫の

囚われた日々よ



波にあやされ 珠を抱く

貝殻の実り

さなぎの沈黙 眠りの実り

みちみちる 蜜蜂の

蜜の部屋の実り

泥へ沈む 蓮の実の実り

ひとの心にひそかに実る

ことばと愛と思い出と

ほろにがい香り

みえない実り



まろく 重く

季節は熟れ やがて落ちる

時をこえて

それをみつめる眼のなかに



四、ゆめみる

ひえびえと雨がすぎれば

枯葉つもる 道は昏く

ただ 冬鳥の きしむはばたき

ふかまる夜に

月は冷え

枝先に

からからと鳴る 乾いたかずら



みえないことで みえてくる世界

夢みるために

みえないでいる世界



ひとはこもり ひとり夢みる

栗鼠のように

蛙のように

時を孕んだ 石のように

歌をとざした 氷のように

ひちは夢みる 手をかざし

炎のなかに 土の器を

やがてくる 雪の白さが

悲哀を讃歌に変えるまで













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最終更新日  2008年09月20日 21時06分47秒
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