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カテゴリ:酒のみ日記
お酒と思い出は切っても切れない。
いろんなお酒のラベルを見ると、 それぞれに思い浮かんでくる人がいる。 面白いなぁ、と、最近思う。 ひとつひとつ振り返ってみるのも 面白いかもしれない。 グレンリベット12年 ★★楽天最安値に挑戦!★★全てのシングルモルトの原点とも言うべき、完璧なバランス。ザ・グ... 実のところ、このお酒を飲んだことがない。 美味しいんだろうな~、とは思うのだが。 まだ20代半ばの若かりし頃、 広告関係の仕事をしていた時、 いつもいつも会社でお願いしている カメラマンのMさんという人がいて、 まぁ、このカメラマンMさんは、 とにかく人がいい、というか、 どんな仕事も断らないし、 金額にもうるさくないので、 重宝に使われていたというタイプ。 人当たりもやわらかくて、 いつも力のない笑顔で会社の 無理難題を聞いては、 なんとかこなしていましたっけ。 何度も仕事をしているウチに、 現場に向かう道すがらなどで、 会話の機会も多くなる。 私が無類の酒好きで、しかも 琥珀色のお酒が大好き、という ことを知ったMさんは、 「オレがね、今まで飲んだお酒でね、 いちばん美味しいと思ったお酒が あるんだけどね、なんだかわかる?」 「わかんないです、教えてください」 「グレンリベット12年っていうの」 Mさんの風貌は、はっきりいって イケてない。年のころは40位、 白髪のぼさぼさ頭にシワっぽい 浅黒い顔、服装は工務店の制服みたいな グレーっぽい冴えないスタイルばかりで、 その人物から、グレンリベットという 名称が出てくることの意外性が 強く印象に残った。 「へぇ~」 と、グレンリベットを飲んだことがない まだまだコワッパの私は、 「じゃあ、今度飲んでみます」 と、そんなイケてない、と思ってる Mさんとも、お酒にまつわる会話が 成立したことに微妙な満足感を 得つつ、相槌をした。 「ぜったい、飲んでみてネ」 と、Mさんは嬉しそうに言った。 それからというもの、 いずれ飲んでみなくちゃ、と 胸に刻んでいたのだが、 行く先々、なぜかサントリー系列の お店ばかりで、 グレンリベットを所望しても 「申し訳有りません、置いてません」 ってことになって、 機会を逃しているうちに、 結局、すっかり忘れて自分の 好きなお酒ばかり飲んでいたってわけさ。 それで、酒屋に行ってラベルを見かけたりすると、 「あ、グレンリベット…」 と、ふいに思い出し、その度に、 カメラマンのMさんのことも 同時に思い出すのだった。 これといって親しくもならず、 一緒にお酒を飲むこともなかった Mさんだけど、けっこう一緒に 仕事してたんだよなぁ…って 思い出す。 Mさん、人もいいんだけど、 ちょっとウッカリなところもあって、 撮影終わってから 「あ、フィルム入ってなかった」 という、冗談みたいなことを やらかしてくれたりもしてたから、 逆に「あんなカメラマンいないよ」 という印象の深さがあった人物だった。 頑張って都心のど真ん中に オフィスを構えてたけど、 いつもお金はなさそうだったし、 グレンリベットは、きっと 仕事関係の飲みで、ご馳走された のに違いない、などと、 私は勝手に憶測している。 それから現在に至るまで、 なんとなく手を出さずにいるのが グレンリベット12年。 すでにいろんな美味しいお酒を 経験してしまったので、 もうきっと、感動しないんじゃないか? という潜在意識が常に働くのだろう。 20代の頃に味わっておけば、 「わー、すごい!美味しい~! こんなの初めてっ!」とかいう 感動があったかもしれないのだけれど。 だから、いまだにグレンリベットを 飲んでいないのは、 感動がなくて残念な気持ちに なるのがイヤだから、 なのかもしれないし、 もしかすると、 「すっご美味しいよ」と 勧めてくれたMさんのあの笑顔を 裏切りたくないからなのかもしれない。 今日、この文章を書いたから、 もしかしたら、近いうちに、 飲んでみよう~という気持ちに なるかもしれない。 気持ち自体はずっとある。 あの頃からずっと、 「じゃあ、いつか飲んでみますね」 と、思い続けているのは確かだから。 いつの時代も同じように 見慣れたラベルが並んでいる酒棚。 同じラベルがずっと歴史の中にある限り、 人々の物語もずっと続いていくのだろう。 ザ グレンリベット 12年 700ML 【正規品】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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