読書記録20150121
国を蹴った男価格:1,728円(税込、送料別)2015年1月21日★★★☆☆『国を蹴った男』 伊東潤6編の短編からなる。短編ゆえに淡々とあらすじを述べるような語り口になるが、設定が面白いのでもったいない気がする。もう少し読み込みたいストーリーに仕上がっている。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、上杉謙信、武田信玄…。時代が重なっているので、短編のそれぞれに何度も登場する。が、共通して感じるのは人物像の印象が各短編にごとに変化していく事。作者が偏った見方をしていないということなのかも。秀吉一人にとっても、石田三成から見た「人を観察することにかけては超一流」の秀吉、佐久間盛政から見た「戦の駆け引きが上手く、恐ろしい」秀吉、茶人宗二から見た「風流を愛さず、ただ出世の道具としか考えていない欲の塊」秀吉と色々な顔を見せる。また、特に興味深い設定に「石田三成の誤算」がある。私にとって、意表を突くものだった。天下分け目の大戦・関ヶ原の戦いは、今まで様々な作家が手がけたテーマであるが、この切り込み方は斬新であった。どの短編も、長編で読んでみたい魅力的な作品であった。『牢人大将』:五味与惣兵衛(牢人衆)『戦は算術に候』:石田三成『短慮なり名左衛門』:毛利名左衛門秀広『毒蛾の舞』:佐久間盛政『天に唾して』:千宗二『国を蹴った男』:五助(蹴鞠職人)