石石 私は男だが女のようであった。どこかの書物で恋 をする男は女らしくなる と読んだことがあるが 納得できる。女らしさとはとどまるところを知ら ぬ。手に負えずくるおしい。より素晴しさを操作 するために 私はひとりの女性を消失するための 花道を行く。これにはちょっとした痛手を負わね ばならない。非常階段の二階から飛んだていどの 怪我ではすまないようだった。といって不眠の夜 にくちびるをはわせるようなナルシスも 好むと ころではない。私は風穴を開けた胸に石を埋めこ む。形は鋭角に にぎりこぶしにおおわれるくら いの大きさ 色はやはり白をえらぶ。この重量を 心地良いというべきであろう。ところで私は男ら しい男であった。石はその数を増していく気色で ある。 |