ばたばたしたまま出かけたので、
帰ってきてからそのしわ寄せがくるのは当然で、
ありがたい出会いや出来事も
二度、三度噛み締めないうちに
時は過ぎ、忘却の彼方・・・と
ならないようにしなくては。


『元気か？』
『はい。以前にこちらに参りましたときには、
　かなり具合が悪かったのですが、
　おかげさまで、元気になりました。』
『そうだな。この間は、かなりブルーな世界にいたようだったな。』
『そうですね。でへへ。』
『悟りを開かれたか？』


って、現役？の行者さん？に『悟りを開いたか？』って聞かれてもね～。


でも、ふと考えてみるに。
甥っ子たちには『身体健康』とか、
弟には『厄よけ』『商売繁盛』、
妹には『安産祈願』、
母には、もちろん、健康で長生きしてもらいたいとか、
まさに、現世利益をお祈りしてしまうけど、
実際、今の私は、何も欲しいものが無い。

うそうそ、『良縁招来』って、護摩木書いてたくせに。
って、そうなんだけど、わはは。
後でよく考えてみたら、ほ～んと、
そんなふざけたことでよかったんだろうかと思うほどに、
今、私がお願いしたいことは、私以外のことばかりだ。

いやいや、それこそ、『忘己利他』の悟りを開いたわけでは、ありませぬ。
私の周りのひとには、とことん、現世利益をお願いしてきたわけでして。

以前には、もう、この場でお護摩の炎に焼き尽くされて、
いっそ、お不動様にまっぷたつにされたいくらいの精神状態だったんで、
確かにね～、これが悟りか、
あるいは、そろそろ、この世に未練が無い状態かと思う。
わっはっは。


とはいえ、
家に工事が入れば、お金もいるわ、
最近おしゃれもしてないんで、
そろそろお洋服も欲しいわ、
カメラは買ったけど
カメラバッグはおしゃれなヤツが欲しいぞ、
お茶の会でうぜーあいつには黙って欲しい、
なんてね、相変わらず、煩悩が渦巻いてるのは同じだけど。



それでも、毎日、掃除をしっかりするとか、
おいしい野菜をおいしくいただくとか、
そういうことをちゃんとやって
毎日、過ごしたい、と
ますます、思うのである。

なんだかさ、『生きる』なんて
大上段に構えなくとも
人間、いつかは、この世を去っていかねばならないんだからさ。

もう、ほんのしばらくの間かもしれないし。
慌てず、焦らず、ゆっくりと。
ごぼうやレンコンを噛み締めるように、
時を過ごしていきたいな、と。