DELTA DPS-600WB A 電源を分解する - ハードオフジャンク税込価格 330 円
ハードオフでジャンクで出ていた DELTA DPS-600WB A ATX 電源ユニットを買う。税込価格 330 円だった。難度はどれほどか?先に書くとこの電源ユニットでマザーボードを動かすことができた。難度は低かった。3/26 に購入して暫く放置していた。ジャンクなのでいきなりマザーボードに接続するのは危ない。まず分解して点検する予定だった。分解した時に出てくるホコリは新型コロナウイルスの流行を考えると罹患の危険がある。風通しが良い状態で、寒くなく作業ができる季節を待ち、ウイルスが失活するのに十分な時間放置した。ラベルを見てみると、HP のパソコン向けに OEM 供給した部品だと思われる。600W 出力仕様かつ出力系統も多く、いわゆるクリエーターズ向けかゲーミング PC 用途だと思われる。店で見たときに賭けに出た。これはもしかして Active PFC 方式の電源?異臭はなし(あまり深くは匂いは吸えない)。AC110V, AC220V 入力 World Wide 仕様なのに AC Inlet 付近に入力電圧切り替えスイッチが見当たらない。Active PFC 回路が無く、入力電圧切り替えスイッチ無しでも AC110V, AC220V 入力両対応する回路方式はある。ATX 電源ではあまり見かけない。通気口から中の部品を見てみる。AC Line Filter を構成するトロイダルコイル x 2, Active PFC 用のトロイダルコイル(と思われる部品) x 1 が見えた。Active PFC のコイルに 2 系統の巻き線があるのかな。特殊な構成? DC 出力部分にあるフィルタ兼、バランス・コイルは有るとして、DC 出力ケーブルの近くに有って多分奥の方だと思う。分解してみる。ホコリは殆ど付いていなかった。清掃後?それにしては滴下してあるシリコーンゴムの劣化は殆ど見られない。空気を清浄化した環境で使っていたか、殆ど使っていないと思われる。コイル類の配置状況から、Active PFC 電源で間違いないだろう。DC 出力フィルタコイルが各電圧毎に個別に配置されているように見える。典型的な ATX 電源で良く見る大きなコアを共有する様な構成ではなかった。電源を入れる、切る時にカチッと鳴っていた。リレーが入っている。5Vsb のみ出力する状態の消費電力を徹底的に下げているのだろうか?AC Inlet 付近に X コンデンサ、Y コンデンサが配置されている。Inlet から基板までの配線は熱収縮チューブを被せ、2 重, 部分的に 3 重絶縁となっている。十分な作り込みだ。直近する LED の配線も 2 重絶縁化してある。主基板にガラスエポキシ、直立基板に紙エポキシを使っている。600W 出力電源にしては、基板にコストを掛けている。PFC を構成するコイルの巻き線は 2 本有った。回路は詳しく調べていない。単なる並列なのか、工夫がされている回路なのか。Fairchild(On semiconductor) の FAN4800C が直立基板に乗っていた。Active PFC controller だ。主要部品にしっかりとオリジナル品を使っている。よく見掛ける PFC controller なので、色々と実験をするのにも都合が良さそうだ(ん?何を企んでいる?)。5Vsb に TNY278PN を使用していた。手堅く AC アダプタ向けの IC を使っている。これも Power Integrations のオリジナル品だ。5Vsb の出力仕様は 2A だ。使用条件を考慮した TNY278PN の実力からするともう少し多く出せるだろう。角度を付けて見る。膨らんでいる電解コンデンサは見つからない。DC 出力部分の主要なコンデンサに日本ケミコン製を使っている。ファンコントローラの出力トランジスタは KEC KTB772 だ。2SB772 互換品になる。余裕がある TO-126 形状を使っている。安い電源だと発熱に余裕が少ない TO-92L とか TO-92 が使われやすい。ファンコントローラの基板の裏側に AS339AM が見えた。段階制御をするためのコンパレーターか?亜鉛メッキ鋼板(だと思える材料)でケースを作ってあるので、ハードオフでジャンク扱いになったのだと思う。中身の回路構成からすると、ブランド品中級クラス相当だ。外回りに戻って仕様を見ていく。DC 出力仕様は、ATX Mother Board 24Pin x 1, ATX CPU 4Pin x 2, PCI express card aux power 6Pin x 1, PCI express card aux power {6Pin | 8Pin} x 1, SATA x 3 x 2 だ。長さとケーブルの色付けからして、裏面配線や「魅せる」目的は無い。各コネクタを見ていく。気にしなくても良い程度の使用痕がある。メーカー製 PC 向けらしく、ATX 24Pin は 20Pin + 4Pin に分割不可だ。ATX 20Pin のマザーボードはカスタマイズ構成に無いのが理由だろう。ATX power 24pinATX CPU power 4pin x 2PCI express card 補助電源は 8pin x 2 を必要とする超高性能カード以外は対応できる。そもそも 8pin x 2 を必要とするなら 800W ~ 1000W 電源だろう。PCI Express card aux power 6pin x 1PCI Express card aux power {6pin | 8pin} x 1SATA 電源は 2 系統有る。光学ドライブ用途を含んだ系統、HDD or SSD ドライブベイ専用系統で構成されている。コネクタ線出しの方向がそれぞれ違う。コネクタ位置からすると、電源は下置きか、Micro ATX サイズ程度のケース構造に最適化した装着位置なのだろう。SATA x 3 x 2 系統それぞれの最先端コネクタ、奥(上)がドライブベイ系統、手前(下)が光学ドライブ系統IDE HDD 4Pin, 3.5inch FDD 4Pin コネクタは無いので、ちょっちしたアクセサリー類は SATA 電源コネクタから電力を受ける必要が有る。6Pin, 8Pin 補助電源入力があるグラフィック・カードなんて持っていない。余った出力コネクタは自作アクセサリー用電源かな。