そうだ、西安いこう！　あっ、長崎もね。

　夜９時過ぎに妻と娘を寝せてから

　独り寂しく内職に励む。

　テレビを見ながら(聞きながら)黙々と作業。

　「踊る大走査線」が流れている。

　これがきっかけで、昔の事を思い出す。

　ほんの短い話だが・・・

　1996年ゴールデンウィーク前後。

　私は福建省の晋江の局に１人で出張していました。

　この頃は隣接する市で作業が輻輳しており、

　各市に私のような工事関係の技術者が常駐していた。

　我々の仕事は日本の某大手メーカーの孫受け、ひ孫受けである。

　一応どこかの工事会社には所属しているがフリーで契約している人も結構いた。

　晋江へは１人で行ったが先客が１人、別の会社から派遣された工事担当のＴさんがいた。

　Ｔさんは顔つきが怖くて、小心者の私は近づき難いものがあったのだが、面倒見の良い人だった。

　ある休みの日に、隣にある泉州市に遊びに行くことにした。

　Ｔさんも泉州市へ行く用事があったらしい。

　そして、私に

　「泉州のホテルに工事仲間が滞在している。その人の部屋で鍋するから一緒にどうだ。」

　当然、私はなんのためらいもなく「金魚のフン」に変身。

　到着したホテルの部屋には５０をとうに過ぎているであろう男性と若い男性の２人がいた。

　２人ともＴさんの同僚で、その部屋は５０代の男性、Ｆさんの部屋だった。

　挨拶もそこそこに部屋で麻雀などを打つ。

　それから鍋。

　よくガスコンロを持ち込んだものだと今更ながら感心する。

　初対面だけにＦさんとはあまり会話できなかったが

　物腰のやさしい、そして仕事には厳しい方だと察しました。

　一度会っただけなので、今会ってもＦさんは確実に私の事など覚えていないだろう。

　で、「踊る大捜査線」からこの話になったかというと・・・

　この映画に出演している女刑事役の女優のお父上が・・・

　Ｆさんだったから。

　このことは、後で仕事仲間に教えてもらって初めて知りました。

　Ｆさん、その節は大変お世話になりました。

　こんな恩知らずの私ではありますが、あの時受けたご恩は忘れておりませんよ。

　今もお元気でいることを信じております。


　鍋にいれた白菜の中から芋虫があわてて出てきましたよね。