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テーマ:バトン系(332)
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「いいニュースはね、今回の調査は実りがありそうだ。午前中に取材したお婆さんのノリがよくてね。秘伝中の秘伝といわれた“イボイノシシの舞”まで見せてくれた」 (おもしろそー!) 機嫌の直りかけていた豊は、にこっと遼と顔を見合わせた。だが、オチは笑えるどころのものじゃなかった。 「悪いニュースのほうは・・・・内戦が再燃したそうだ。ニジェール側の国境から反政府軍が動き始めてる。明日かあさってには、このへんも囲まれるかもしれないぞ」 「ええっ」 「情報源は隣村からのトーキング・ドラムだ。秘伝じゃないタイプのね。このあたりじゃ国営ラジオよりも早いし正確だ」 「うーん。この村は反政府側にシンパが多いから、囲まれたからって危害を加えられる可能性はそんなにねーさ。ただ、おれたちより三日遅れで入る予定だった二次調査隊がコトだな・・・・あんなふうにVIP待遇で、政府軍の見送りがついているとすると・・・・」 遼がうなった。教授も青ざめる。 「最悪、戦闘に巻き込まれる可能性もアリかね?」 二次調査隊というのは、考古学者やボランティアの医師団を主とした50人ほどの多国籍チームだ。予定通りなら、首都を出てこちらに向かっているはずだ。 さっそく手分けして無線連絡してみたが、ノイズがひどくて通じない。 「峡谷の外まで出てみたら?」 「運が悪いと、ジープ一台で反政府軍と鉢合わせするかも・・・・」 「たしか・・・・前の調査団が、中継所を作ったって聞いたが。この崖の上の台地に」 遼が言い出すと、ムベキがうなずく。 「はい。聞いてます。ドイツのチームが、未調査の神殿遺跡のそばに」 「上に行きゃ、無線もなんとかなる・・・・か」 「でも危険です。ここから登るとすると車は使えないんだ、片道で半日。サバンナとは地続きで、猛獣も棲みついていますし」 「誰かが行くしかねーだろ。オタリ、一緒に来てくれ」 ムベキよりも体格のいい助手を遼は呼ぶと、登山準備を整え始めた。 「上の遺跡ってのも、一回見たかったしな」 しばらくは口出しを控えた豊だが、 「トリさん!」 人目のない時を狙い、だめモトで呼びかけてみた。 「来るのか?」 だが、察しのいい兄に確かめられると、さすがに返事に困ってしまう。 遼の背後に、切り立つ崖に狭められた空が見える。そこにたどり着くまでの高さ数百メートルに及ぶ、うっそうとした茂みや岩の裂け目や、輪を描いて舞うハゲワシも。 「ここまで来るジープで貧血起こしてたヤツが、無理しねーの。ひとりじゃないさ。ヘンリー(教授)にでもかまってもらいな。ウッドストックでマリファナ吸ってた思い出話から、えんえんと聞かせてくれるぜ」 「そりゃ楽しそうだね・・・・」 ポンッ。背中ひとつ叩かれ、結局見送ることになる。 助手のオタリと、案内役の村の青年と三人連れで道なき道をかき分けてゆく、黒いTシャツの後ろ姿が緑に飲み込まれていった。 (片道半日かぁ・・・・一日帰ってこないのか・・・・) 豊は自分の小屋に引き上げることにした。 (ま、いいか。行かなくてもネタは山のように増えたし) 泥小屋の敷物の上にノートを広げ、去年の内戦のあらましだけでも、わかりやすくまとめておくかと思った時だ。 ピン、とくるものが脳裏をよぎり、豊は胡坐をかいたまま背筋を張った。 次回は●アフリカの滝洞●です。 滝洞!? 行っちゃあいけないんじゃないの、ゆたさん!? 本日の日記----------------------------------------------------- そうそう。いいニュースといえば──初校の締め切りが延びて、当初の5月29日(月)の予定から、6月1日(木)必着となりました。三日延びただけでもこれはかなり嬉しい・・・・そして、嬉しいことといえば! やっぽーい! 秋野真珠さまから「おうちバトン」をいただきました☆ わーい、面白そう! はりきって行ってみよう! 1.実家ですか?独り暮らしですか? いや~ははは。実家・・・というか所帯持ちです(笑)。三人暮らしです。 (考案した方・・・これ「おうちバトン」というよりも「おへやバトン」じゃない!?) 2.部屋に写真はありますか? あります。一族のスナップ写真が対面式キッチンのリビング側の壁一面に──これだけでのべ数百人。 それから、お約束で、自分たちの結婚式の写真(←これはラブラブというわけではなく“本当はおまえはここまで痩せられるんだ”という自戒の念を込めて掲示してあるのです。ご要望があれば恥ずかしながらお見せします:笑)。 3.部屋に何か掛けてありますか? 新婚旅行の時に一度あきらめて──やっぱりあきらめきれなくて、片道一時間かけて戻って買った体長1mのカメの剥製(名前は浩昭:ひろあき)。うちの守りガメ。かわいい。 ちなみにバリ島に行ったのだが、現地でのオットのあまりのアホな行動に成田離婚を考えた(笑)。(現地のお医者様三人が駆けつけ、帰国後には保険金さえおりる事態を招いたのだ)。 けど、片道一時間の距離に文句ひとつ言わず、1mの巨大ガメを担いで帰国してくれたので許す(←浦島太郎?)。 4.ぬいぐるみはありますか? よくぞ訊いてくださった。 オットはなぜかUFOキャッチャーの王者なのです。ヤツがその前に立つとまわりに人だかりができる。常に百発百中。狙った獲物は逃さない。ヤメロと言っても獲ってくる。『UFOキャッチャーの社会学』という論文すら書いている。 (その節には、真名さんにオットを貸し出してあげたかった:真名さんのおうちバトン4番を参照のこと) というわけで、うちにはオグリキャップからうーたんからクーからアネムからなんでも居る。(親族からは“UFOキャッチャー景品の孤児院”と呼ばれている)。 5.部屋にある機械は? 部屋か──(遠い目)。 厳密に言うと、個人の部屋はないのです。 うちは2LDKなのですが、“自習室”(別名コックピット)と呼んでいる一部屋に、向かい合わせに机を二台置いて(窓側をゲットしたのが私)、机に向かう作業があればふたりしてそこに居ります。 オットの机にはノートPCが。部屋からあふれんばかりの蔵書のために除湿機一台。冬は湿気がないと干からびてしまうオットのために加湿器が一台。けど、除湿機と加湿器が同じ部屋で稼動してるのはどーよ。(どっちが勝ってるんだ?) 洗濯機買い換えたい。 それとDVDのリモコン、どこにあるか知ってる人いますか~?(現在も捜索中) PCはリビングに置いてあり、ふたりで共有してます(私が買ったのに)。 インターネットがつながっているのがこの一台なので、日中と深夜の二交代制で稼動してます。深夜に“小夜子姉貴”の足跡がついていたら──それはオットです(笑)。 6.部屋で「これだけは人に負けない」というものは? 古文書。光を反射させると十字架がうつる魔鏡、渡辺崋山の真筆、ローマ法王からもらった免罪符など、おどろ一族末裔の名に恥じない各種魔道アイテム。 7.寝る時必ず周りに置く物は? 毎晩、上背のあるオットと小さな子供と私とで“小”の字になって寝てます(笑)。 (それと真名さんの囁きを聴くためのMDプレーヤー:これはオットにヒミツ☆)。 8.部屋は片付いてる? 突発的な来客が多いので、皆さまにいつでもお入りいただけるくらいには・・・ (けど、7月下旬までは許してくれ)。 9.次に回す五人 solyaさん:この方も所帯持ちなので・・・でも書斎は持ってそう。うらやましー! (えとね。いつでもいいからね)。 舞夜じょんぬさま:ぜひ公開を! 興味津々です! 桜さん:かわいいお部屋を妄想してたりして☆ 真珠さん、楽しいバトンをありがとうございました☆ 私、女の子だし・・・こういう企画大好きです。ぜひまた回してください! 真珠さん、今からうちに遊びに来ます? 次回更新は5月28日(日)、●登場人物の筆跡について●です。 不思議なタイトルですが・・・詳細は日曜日に(笑)。 どうかお楽しみに! ◆お読みいただけたら人気blogランキングへ 1日1クリック有効となります。ありがとうございます。励みになります! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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