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テーマ:バトン系(332)
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サバンナの呪師 第16節●呪術師VS陰陽師● 玉の汗が浮かんだ腕を、怒りにまかせてグイと伸ばす。 プツッ。紐の切れる手応え。 「・・・・・・ッ!」 マキの面がずれていた。黒い木彫りの曲線の下に、光沢のある褐色の頬が覗いた途端。彼女は息をのんで短剣の柄に手を掛けた。現地語での、早口の呪詛がつぶやかれる。 そのとき、あたりに鋭い声が飛ぶ。 「マキ、聞けっ!」 駆けつけた遼を睨み据えて、マキは手にした短剣で豊を今しも突こうとしている。 「本当にいーかげんな人だな、ハルカ。憎めない顔さえしてれば、それで許されると思ってきたの。そうやって世の中渡ってきたの。甘いもんなんだね」 「それ言われると一言もねぇ」 マキははずれかけた仮面を顔に押しつけて、キッと顔を起こした。表情が見えないだけに、どす黒い漆色に光る仮面の奥の憎しみが空恐ろしい。 「あのときまだ八歳で、村の外には出たこともない、これからだって出られそうにないわたしに、さんざん世界中の話をしてうらやましがらせて、英語だって教えて・・・・! ずっと一緒にいてって言ったら、約束したじゃないか。“おまえが大きくなったらな”って!」 (・・・・マジで言ってたのかよっ・・・・) 豊の血の気の失せたこめかみに、兄に対してもムカッと血管が浮き上がる。 「マキっ、とにかく聞いてくれっ!」 頭上に飛ぶハゲタカを散らさんばかりの大音声で遼が叫ぶ。 「おれは二次隊の医者たちを呼んだ。いつ着くのかわかんねーがな! だがな・・・・だけどな、ほんとに待ってたのは──」 ギャー! ギャー! ギャー! 舞い落ちる黒い羽根。 「マキ、おまえだ! おれが一番あてにしてる医者はおまえだ!」 「・・・・・・っ」 マキの手の動きが止まる。次の言葉を待つように、マキはそれからも無言だった。 「ゆたが崖道の洞穴から出てきてから、ずっと気配を感じてた。ここに現れてくれるのを待ってた」 「・・・・・・」 「呪術師は優秀な治療師でもある。チャドの民間療法はすげぇレベルだからな。最近ではエボラザイールの特効薬になる知識までがアフリカ医学会でも認められたとか」 「・・・・・・見返りは?」 「見返りだと? おれはおまえのチャドの誇りを信じるだけだ。呪術師の腕を信じるだけだ。だからおまえもおれの言葉を信じろ!」 (・・・・マジメな顔してる。はるさん・・・・) そう言えば、この兄貴が大声を出すところなんてほとんど見たことがない。相当とんでもないコトがあっても、のほほんとおちょくるだけで。 (ちゃんと叱ってあげてるんだ・・・・) 「シンディ──っておれのワイフだけどな、あいつが待ってるんじゃなかったら、どうせトウキョウなんて帰りゃしねぇさ。シンディがいたから、おれには帰るところがあった」 マキと豊とのあいだに仁王立ちして、 「鳥は翼があるから自由だとか言うけどな、鳥だって帰るところがなけりゃ、野たれ死ぬまで飛び続けるしかないんだ。ぜんぜん自由なんかじゃないんだ」 叫ぶのを、遼は止めない。 「よ・・・・せ・・・・」 それにたまりかねたように、マキがかすれた声を出す。 「やめろよ。村に閉じ込められたアンタなんての、なんの取り柄があるって・・・・」 「マキ!」 遼が奪い取るようにマキを抱きしめた。 次回は●青汁●です。 ・・・・はぁ? 本日の日記--------------------------------------------------- 私のこよなく愛する鳥取県民である、大好きな架月真名さまからいただきました。(私信:真名さん、こちらアップしているのは県民歌のジャケットのB面?です。大山です! 歌詩です! 楽譜です! マニアにはたまらん☆) 『漢字バトン』 最近のおどろな連載から救っていただくべく、楽しんでお答えします☆ さてさて。真名さんから備わっている人、夢を具体化できた人、受け入れる器を持つ人、という意味でいただいた「具」の文字を、謹んで拝領させていただきます。私自身、「具現化」という言葉が好きです。そうでありたい、と肝に銘じております。ありがとうございました。 1.好きな漢字を三つ。 「飛」 すべての漢字の中で、一番キマっている字であるとお見受けしております。 「散」 散るもいいが、「サン」です。漢語で「散れ!」という意味。 この言霊で、不調が消え去ります。 「光」 空気に溶け、宇宙の闇をも貫いていくもの。 2.前の人が答えた漢字に対して自分が持つイメージは? 「華」 中国の自称がまず浮かびます。 草冠使ってるから、やっぱり花が満開の様を会意しているのかな。 華年と書いて「少年」の意を取りますよね。 華のある人の近くにいると、こっちもエネルギーが湧いてきます。 「宿」 守宿を思い浮かべてしまいましたが(笑)──とはいえ、やっぱり星座の方かな。「古から」、「安らかに」、「守る」、この三つの意味を具えた、深い深い意味の会意文字です。 「魂」 めぐりあるく心、かな。 「鬼」が陰ならば、「魂」は陽の気を感じます。 真名さん、三つともナイス選択です! 素晴しい。 3.次の人に回す言葉を三つ。 「月」 「弓」 「久」 深い意味はなく、あくまでも好きな漢字の一端ということで・・・。 逆にとらえどころがなく難しいかもしれませんが、皆さまのなかで浮かんだイメージを聞かせていただければうれしいです。 4.大切にしたい漢字を三つ。 「實」 Honestyです。自分に嘘をつくことだけはできない。 自分にだけはごまかしがきかないんだなぁ。 「仲」 もとはしずさん的立場の会意文字ですが、ここでは「なかよし」という意味で。 なかよしなんだ──人生の中で、出会えるだけの限られた人に言いつ言われつしたい言葉です。 「仲」は本来は次兄という意味です。「伯:長兄」と「季:末弟」の間に「仲」という字の次兄があります。 「知」 知らないでいるよりは、知っておいた方がよい、何事も。 5.漢字の事をどう思う? 遠く殷の時代、占いから始まった文字──漢字。 漢字も書くだけで言霊のはたらきをするのかな。 6.最後に貴方の好きな四文字熟語を三つ教えて下さい。 「森羅万象」を味方につけた、 「百戦錬磨」の無敵を誇る、 「奇想天外」な奴に憧れる! 7.バトンを回す人7人とその人をイメージする漢字を。 はるさんあたりにまわせば物凄い回答が得られるような気がするのですが──R指定が入りそうなので、ここはスルーということで。「兄」とか「弟」とか「迸」とか「漲」とか出てきそう・・・・(笑)。 solya兄:「人」 この人のまわりにはいつも人が集まっていそう・・・けれども、かの人自身は謎に満ちている。そもそもこの兄さにとって「人」の字とはなんぞや。solya兄、まわさんでもええからいつかトライしてみてくだされ。 舞夜じょんぬさま:「舞」 このほかにありません、じょんぬさまの文字。「舞」って、私もとても好きな漢字です。雅です。「輪舞」なんて字面は最高です。「夜」も好きな漢字なので・・・個人的にじょんぬさまのHNは最高だと思っております。じょんぬさま、私、「馬」という字も好きです! 桜さん:「桜」 もちろん「桜」です! 「桜」も好きな漢字です。可憐で儚く、それでいて永久を感じる言葉です。「桜」そのもののイメージの桜さん。なぜこの雅なHNを持つに至ったのか──妄想は尽きません。 三名の方、どうかお時間のある時に、よろしくお受け取りくださいませ。 ご回答を楽しみに、楽しみにお待ちしております。 真名さん、インテリジェンスの香り高いバトン、ありがとうございました! あまり薀蓄にこだわらず、自然体で取り組みました。すっごく楽しかったです。 そして勉強にもなりました。 真名さん、素敵な企画を回していただき、ありがとうございました! これからもよろしくお願いします☆ 次回更新は、6月11日(日)です。 「本当にあった怖い話」の続き、聞いてください・・・・。 ◆お読みいただけたら人気blogランキングへ 1日1クリック有効となります。ありがとうございます。 いつも本当に励みになります! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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