診療所・歯科診療所で分院を開設するためには法人でなければなりません。
個人では医療法上分院開設はあり得ない行為で医療法違反となります。
根拠は以下の通りです。
まず、医療法第12条の規定により、医療機関の開設者が、管理者となることができる者である場合は、自らその病院、診療所又は助産所を管理しなければならないことになっています。
次に、医療法第10条及び第12条の2の規定により、医療機関の管理者になれるものは、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は臨床研修等修了医師、歯科医業をなすものである場合は臨床研修等修了歯科医師で、他の病院、診療所又は助産所を管理しない者でなければならないこれを管理させなければならないことになっています。
さらに、医療法第7条の規定により、病院を開設する場合及び臨床研修等修了医師、臨床研修等修了歯科医師以外のものが診療所・歯科診療所を開設する場合には医療機関の開設には許可が必要になります。
また、管理者については厚生労働省通知「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」により、以下の要件をクリアする必要があります。
≪医療機関の開設者に関する確認事項≫
(1) 医療法第7条に定める開設者とは、医療機関の開設・経営の責任主体であり、原
則として営利を目的としない法人又は医師(歯科医業にあっては歯科医師。以下同
じ。)である個人であること。
(2) 開設・経営の責任主体とは次の内容を包括的に具備するものであること。
1.開設者が、当該医療機関を開設・経営する意思を有していること。
2.開設者が、他の第三者を雇用主とする雇用関係(雇用契約の有無に関わらず実質
的に同様な状態にあることが明らかなものを含む。)にないこと。
3.開設者である個人及び当該医療機関の管理者については、原則として当該医療
機関の開設・経営上利害関係にある営利法人等の役職員を兼務していないこと。
ただし、次の場合であって、かつ医療機関の非営利性に影響を与えることがな
いものであるときは、例外として取り扱うことができることとする。また、営利
法人等との取引額が少額である場合も同様とする。
・営利法人等から医療機関が必要とする土地又は建物を賃借する商取引がある
場合であって、営利法人等の規模が小さいことにより役職員を第三者に変更す
ることが直ちには困難であること、契約の内容が妥当であると認められること
のいずれも満たす場合
4.開設者である法人の役員については、原則として当該医療機関の開設・経営上
利害関係にある営利法人等の役職員を兼務していないこと。
ただし、次の場合(開設者である法人の役員(監事を除く。)の過半数を超える
場合を除く。)であって、かつ医療機関の非営利性に影響を与えることがないもの
であるときは、例外として取り扱うことができることとする。また、営利法人等
との取引額が少額である場合も同様とする。
ア営利法人等から物品の購入若しくは賃貸又は役務の提供の商取引がある場合
であって、開設者である法人の代表者でないこと、営利法人等の規模が小さい
ことにより役職員を第三者に変更することが直ちには困難であること、契約の
内容が妥当であると認められることのいずれも満たす場合
イ営利法人等から法人が必要とする土地又は建物を賃借する商取引がある場合
であって、営利法人等の規模が小さいことにより役職員を第三者に変更するこ
とが直ちには困難であること、契約の内容が妥当であると認められることのい
ずれも満たす場合
ウ株式会社企業再生支援機構法又は株式会社東日本大震災事業者再生支援機構
法に基づき支援を受ける場合であって、両機構等から事業の再生に関する専門
家の派遣を受ける場合(ただし、開設者である法人の代表者とならないこと。)
5.開設者が、当該医療機関の人事権(職員の任免権)及び職員の基本的な労働条件の
決定権などの権限を掌握していること。
ただし、当該医療機関の幹部職員に定款、内部規程等の規定により権限を委任
している場合はこの限りではない。
6.開設者が、当該医療機関の収益・資産・資本の帰属主体及び損失・負債の責任
主体であること。
よって、個人で診療所(歯科診療所)を開設する場合には、診療所の経営者=開設者=管理者である医師(歯科医師)でなければなりません。
個人で2か所以上の診療所の経営者となった場合には、実質的な開設者であるにも関わらず診療所を管理していないとして医療法第12条違反と判断された場合には罰金20万円以下、または許可を得ずに管理者以外の開設者が診療所を開設したものであると判断された場合には6月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
さらに、医療法違反で罰金刑が処せられた場合には、刑の執行を受けることが無くなってから2年を経過しないと医療法人の役員になることができなくなります(=医療法人化できない)というか、罰金刑以上に処せられた場合には医師法第4条及び第7条の規定により医師免許が取り消される事になります。
以上より、個人事業主である医師(歯科医師)は診療所(歯科診療所)を医療法上1か所しか経営する事ができません。
2か所以上経営したい場合には法人化する必要があります。
たまに、医療法を知らない会計事務所と医師が診療所の管理者とは異なる人の収入として事業収入を計上し申告してしまっている事がありますが、上記のように医療法違反となりますので、発覚した場合には行政指導から最悪は刑事処分となる恐れがあります。
また、そのような内容の確定申告書を添付資料として医療法人設立認可申請が出されても、違法な状況での経営内容を認める事はできませんので、医療法人の設立認可も認められません。
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