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テーマ:尼崎で電車の大事故(183)
カテゴリ:薀蓄
私は鉄道関係者である(JR西日本の社員ではない)
今回の事故に対して思うところは当然あるわけで 硬い内容になるのは承知でちょっと記そうかと… 【大事故の要因】 大事故というのは必ず複数の原因がある ハードウェア(車両 線路設備 運行システムなど) ソフトウェア(人 組織 会社など) これくらい大事故になると これらの全てに何かしらの原因があるのだろうが 具体的に述べようとすると推測ばかりとなり 有象無象のメディアと同レベルになるのでここでは論じない 【メディアの論点】 その各メディアであるが およそ以下のストーリーで論じられている 脱線原因←スピード超過←運転士が遅れを取り戻そうとした←定時運転に厳しい会社 果てはこのあとに「安全軽視 もうけ主義」などという いかにもそこに結び付けたい思惑の言葉が踊っていたりする もちろん間違いとは言い切れないが JRが原因ということで議論は終わっている 【事故の遠因】 JRに原因があるとして JRがそうなったのはなぜか 「また電車遅れているのか!」 「え?あそこまで○○分もかかるの?」 「電車の本数少ないなぁ」 必ず口にしたことがあるであろうこれらの言葉 利用する側のこれらの意識が 鉄道事業者を現在の姿にした こういう論点が一切欠けている あくまで悪いのはJRということにしたいらしい (もちろん第一因はJRであって利用者だけを責めているわけではない) 【日本人の特質】 日本の鉄道は 1分でも遅れれば「遅れ」 欧米の鉄道は 10分ないし15分遅れれば「遅れ」とみなす つまり数分の遅れは「遅れ」ではなく「定時運行」なのである もう少し利用する側も心にゆとりをもって 何よりのサービスとは 「定時運行」でもなく 「列車速度」でもなく 「列車本数」でもなく 「安全に目的地まで運ばれること」だということを 鉄道事業者が改めて再確認するのは当然ながら利用者も意識するべきだ JRも 「○○列車はただいま3分遅れで○○駅を出発しております お急ぎのところ誠に申し訳ありませんが…」 なんていちいち謝ることはないのである 極論だが 「3分遅れだけども脱線するよりましだろ 文句言わずに黙って待て!」 くらいの開き直りが必要である 【金儲け主義=安全軽視のわけがない】 鉄道に限らず交通機関というのは 金儲けをしたければ客の信頼を得なければいけないわけで そのためには今も昔も安全第一であることは当然である つまり金儲けは安全の確保の延長線上にあるわけであって 決して相反するものではない それを金儲け主義のJRは安全を軽視しているなんてとんでもない ましてやこれに乗じて民営化の害を説くなんて筋違いもはなはだしい JRは国鉄時代には考えられないような努力をしている さまざまなサービス向上はもちろん 国鉄時代の末期には毎年のように運賃値上げを行っていたが 民営化後の17年間 消費税の上乗せ以外の値上げはおよそ行っていない 安全に対する努力も然り! 効率化のために安全が疎かになっているなんて 知ったようなことを簡単に言わないで欲しい 列車のスピードや本数を考える前に 鉄道事業者がどれだけの安全の確保をしているのか知っているのか 軌道の管理(線路の幅など)を1mm単位で行っているのを知っているのか 安全に対する努力を怠ると その他の努力が水泡に帰すことぐらい百も承知だ 安全の確保のためにさく労力と時間と金は膨大なものである しかし起きてしまったと言うことは その努力が足りなかったのだろう 安全に対する努力が足りないのは確かなのだろうが 他のものとひきかえに安全を疎かにしたのではない 事故が起きてしまったことは大変悲しいことだが 悪者を特定しようとしている世論しか形成されないことはもっと悲しいことだ 「事故後 JR相次ぐミス ○mのオーバラン」 アホか! 普段ニュースバリューがないと切り捨てていたものを なぜ今回に限って取り上げるのか理解に苦しむ 【綱領】 安全の確保は輸送の生命である 規定の遵守は安全の基礎である 執務の厳正は安全の要件である 前職場では毎朝唱和していた JR各社の全職場が今でも唱和していることを願う 【おまけ】 「亡くなられた」は間違いである! (昨年9月1日の日記参照) 正しい使い方をしている日記はごくわずかだ(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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