原石
「あの頃の自分はもういない」と思った時ほど、
自分自身を見つめ直す絶好の機会はない。
人は歳を重ねるごとに、自分に対する嘘が多くなる。
それだけたくさん世の中を見て、
世の中に自分を当てはめようと努力してきたのだから。
そんな自分を誇るのはいいが、
それで全てが満たされると思ったら大間違いだ。
少なくともあの頃の方が自分らしかったし、
現実にどうかは別として、自分を自由にしていた。
確かに世間知らずだった。
でも、心は綺麗に澄んでいた。
そんな頃を、忘れようとしてはいけない。
一日に、朝の自分と夜の自分がいるように、
あの頃の自分がいて、今の自分がいる。
あの頃の自分を置き去りにしたら、
残るのはスカスカの自分。
過去は大事だ。お金では買えない。真似もできない。