2008/09/23(火)08:32
【中国回想録・9】お刺身って?
1990年代前半の頃です。
まだ北京でも、日本料理の店は、一部の大型ホテルの中にしかありませんでした。
仕事で訪中したある時、中国側の会社の人が言ったのは、
「お昼ご飯、お刺身をごちそうしますよ。」
お刺身?ごちそう?
私が素直に喜ばなかったのは、
その1…これって接待?。私みたいな下っ端の社員を相手にしてどうする?
その2…北京でお刺身なんてアリ?
(当時は大連などの一部の沿岸地域を除いて、中国でナマモノを食べること自体が勇気ある行為でした。)
疑問は多いですが断る理由も思いつかないので、約束の時間に行くと、
大型ホテル内の日本料理店の前で待っていたのは、先方の会社の人が4~5人。
こちらは私一人だから、どう見ても
自分達が食べたくて、私を接待するという理由にしたんだな…
さて、入店です。時間のせいか私たち以外に客は見当たりません。
早速先方の一人が「お刺身」を注文し、
しばらくすると従業員が両手で、日本の宴会などで使う「船盛り」を運んできました。
北京でもこんなの出てくるんだ…
一瞬感心しましたが、テーブルに置かれたのを見たら、目がテン。
容器こそは立派な船盛りなんですが、のっているのはマグロだったかイカだったかが
申し訳程度に数切れあるだけで、大根などの「ツマ」での装飾も一切無し。
そして埋めきれないあちこちのスペースに並んでいるのは、
カニカマ…
やっぱり、北京の「お刺身」って、こんなものだよね。…
がっかりしたような、でもホッとしたような気分でいただきましたが、
気が済まなかったのは、当てが外れた?「接待する側」の方々です。
従業員をつかまえて
「これはお刺身とは言いません。」
さんざん文句を言っていました。
それを横目で見ながら、確かに「お刺身」ではないけど
しょうがないじゃん、中国なんだから…
留学中に何度も使った言葉を心の中で繰り返しました。(笑)