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1月26日公開の山田洋二監督の映画「母べえ」。(公式サイト)
ここに登場する「父べえ」のモデルがドイツ文学者の野上巌であることは知られています。 野上巌は戦前プロレタリア文化運動に参加し,三笠書房の唯物論全書の一冊として,新島繁のペンネームで『社会運動思想史』を書きました。 画像をクリックしますと,公式サイトへいけます 宮本百合子は「この本は,今日の歴史の(その向こうにまだある)ものに対する,わたしたちの健全な愛着と奮闘心と呼びさます熱量をはらんでいる」と書評している。(『唯物論研究』1937年12月号) 「今日の歴史の(その向こうにまだある)もの」が戦後社会を展望したことは言うまでもあるまい。 野上(新島)には,大学の教壇を追われ高円寺で古本屋を営むこと,当時阿佐ヶ谷に住み,雑誌『インターナショナル』を買いに来た小林多喜二への回想もあります。 小林多喜二虐殺に衝撃を受け,築地小劇場での多喜二労農葬にも駆けつけている。 『世界』2月号で,原作者の野上照代さんとの対談で山田洋二監督は語っています。 「『父べえ』たちを非人道的に迫害した,その罪の責任をとろうともしないし,追求もしない。優しい『母べえ』は,戦後何十年もそれを胸の中に,納得のできないこととして,抱き続けていた,というのが,まあ,この作品のメッセージでしょうか。」 小林多喜二没後75年後を迎える年に,母べえの訴えは格別の感慨を呼びに違いあるまい。 ↑ お手数ですが,宜しければ「応援クリック」をお願いします お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年03月04日 21時37分49秒
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