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小林多喜二の没後75年の今年,各地の記念の催しがかつてない盛り上がりを見せた。『民主文学』の6月号は,民主主義文学会が主催した「多喜二の文学を語る集い」の講演を収録しているが,その中で「蟹工船」のエッセーコンテストの入賞者が登場した「青年トーク」に注目しました。
「もっといい船に乗せろ」という出演者の叫びにもあらわれているように,そこでは多喜二の作品が今日の状況と重ねて語られている。それを読んでいて,逆に多喜二が虐殺された1933年の状況が,今と似かよっていることを考えた。 「ノンキナトウサン」を描いた麻生豊が,東京朝日新聞で,大学を卒業して就職口のない青年を主人公にした「人生勉強」という漫画の連載を始めるのが1933年の5月である。 小津安二郎監督の「大学をでたけれど」の上演が1929年だから,インテリ層の就職の困難が長期に続いていたことがわかる。またこの年の2月の女学生の三原山火口への投身自殺をきっかけに,同署での自殺は1年間で未遂も含めて944人を数えた。 最近の硫化水素自殺の続発を連想させる。 当時は,失業,凶作,戦争への不安の中で,若者の閉塞感がつのっていた。歴史は繰り返すなどと言いたいわけではない。 侵略戦争へと進んだ歴史を繰り返さないために,多喜二の作品を貫く団結のメッセージの若者への広がりを期待したい。 ↑ 更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年09月30日 21時23分32秒
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