学校の情報化と地域のバックアップ
内閣府のIT戦略本部が打ち出しているe-Japan戦略の最終年度が今年です。「2005年に日本を世界最先端のIT国家とする」ことが目標です。それは、達成されつつあるところもありますが、教育分野こそ、IT化によるメリットが大きいと期待されているにもかかわらず、現在のところ、学校ではその恩恵を実感できるところまで至っていない、と構造改革評価報告書でも指摘されています。学校教育の情報化施策でもっとも遅れているのは、各教室からのネットワーク接続環境の整備です。今年の3月現在では、いわゆる校内LANが整備され普通教室からネットワークを利用できるようになっている学校の割合は、全国平均で44.3%です。校内LAN(校内情報ネットワーク)が整備されれば、コンピューター教室ばかりでなく、普通教室や校長室、また理科室、視聴覚室などの特別教室に整備されたコンピューターでインターネットを利用したり、それぞれのデータを共有することができます。たとえば、授業で使う素材やデータをサーバコンピューターに保存しておけば、データを持ち歩かなくても普通教室などに設置されたパソコンからいつでも情報を引き出せ、様々なコンテンツを活用したわかりやすい授業が可能となります。また、学校内で、教員や子どもたちが、電子メールや電子掲示板、グループウェアなどを活用した多様な教育活動が可能になります。さらに、学校内だけでネットワーク上のモラル教育を行うこともできます。ぜひ、各種の予算が、名目通り、有効に、教室の情報化に使われるように整備を進め、その上で、先生一人に1台のノートパソコンが支給され、教師や児童生徒がどの教室からでもネットワークにつながる世界の知を取り出して活用したり、自らが創り出した情報を発信できるようにする必要があります。このためには、国だけでなく、教育委員会と地方自治体が三位一体となった推進本部が必要ですが、現実的には、どんどん進む環境や技術に対応した、民間の技術ボランティアがどうしても欲しいところです。先生たちの悩みや希望を受け止めたり、教育委員会へのアドバイスをする専門家たちです。予算は乏しいのですから、率直にボランティアを地域と企業に呼びかけましょう。遊休のパソコンの提供もお願いしましょう。地域教育の情報化こそ、地域の活性化に直結します。学校と地域のつながりは、新しいビジネスチャンスでもあります。児童生徒の情報化力は、次世代の地域格差を決定づける基盤です。私の所属するNPO法人 TERAKOYAでは、このたび、古川第一小学校に校内LANを敷く助成をコーディネートすることに成功しました。おおさきの学校支援の一環として、市民各層が手を取り合ってIT教育環境の整備の力となりましょう。関心のある方、ぜひ、手をつないで参りましょう。