テーマ:ゲーム開発者日記(457)
カテゴリ:就職
最近、お邪魔したサイトで引き抜きの件が話題になりました。
今回は、その引き抜きの件についてブログしたいと思います。 ゲーム業界では、引き抜きというものは そんなに珍しい話ではありません。 特に、スーパーファミコン時代から プレイステーション時代への移行期、 所謂、2Dから3Dへと時代と共に変遷する中で 引き抜き合戦は熾烈を極めました。 特に某超大手会社の行った引き抜きは凄まじいものであり、 業界の人材の配置図は、それを機会に 大きく塗り替えられたといっても過言ではないでしょう。 その中で、A社が開発していた類似のゲームが B社から発売されるなどの混乱が 起こった事は記憶に新しいところです。 何故、このような大規模な引き抜きが起きてしまったかについては、 幾つかの要因があると考えられます。 まず、恐らく第一に頭に浮かばれる事でしょうが、 お金と環境の問題です。 これは、ゲーム業界に限った話では無いと思いますが、 より多くのお金、より良い環境を求める心は 誰もが持っているものです。 それを、提示された時に、 そちらを選択すれば引き抜きが成功となるわけです。 引き抜く側にとっても、即戦力の人材を雇えるために 教育費、所謂、投資が必要ありません。 自社で育てて、そのレベルに持っていくよりは遥かに投資額が 少なくて済む計算になるために、 お互いにとってメリットがあるわけです。 次に、開発者の境遇にも原因があったと考えています。 一昔前は特にそうでしたが、 ゲーム開発者の境遇は悪辣なものでした。 (*当然、全ての会社がそうと言っているわけではありません。) 徹夜の毎日、勿論、残業手当等頂けるはずもなく、 過激な表現を使うと、正に奴隷のような扱いであったと言えます。 それでも、開発者は情熱を持ってゲームをヒットさせました。 ところが、その利益が殆どといっていいほどに 開発者に還元されません。 経営者陣の贅沢に使ってしまったわけです。 酷い例を挙げましょう。 某社は、リラクゼーションルームを ゲームの売り上げから作りました。 開発者も利用出来ると思い喜んでおりました。 ところが、開発者が足を踏み入れて利用しようとところ、 たまたま、経営者の一人と遭遇しました。 その瞬間、怒号が飛び、即時に出て行かされました。 何を言われたのか・・・ それは、お前達のために作った場所ではない、 出て行けという事でした。 挙句の果てには、 連日の徹夜で疲弊している開発者に向かって、 その場で汚いと吐き捨てられた事も付け加えておきます。 このような扱いを受けて会社に 仁義を通す必要があるのでしょうか。 少なくとも開発陣は、その必要を感じませんでした。 そこに、ヒット作を生んだ人間に 他の会社から声が掛かったわけです。 その結果は、言わずとも分かると思います。 このように、引き抜きをされる状況は色々な状況があるのです。 一般的に言えば、間違いなく引き抜きよって 違う会社にチームが移籍する、似たようなゲームを作っている事は 気持ちの良いことではないでしょう。 むしろ、仁義から外れている行為に感じるのは当然である と思います。 私も、このような事については賛成する気持ちは 基本的には持っていません。 然しながら、開発者同士で同情する気持ちもあるのも確かです。 会社には恩がありますが、 だからといって、自分を一人の人間として見てくれないと 働いている人間が思ってしまったら、 その場で働き続ける事を選択する事は出来ません。 特に、一昔前はゲーム業界自体が未熟な業界でした。 つまりは、未熟な経営者が多かった時代です。 労働法をまったく無視した会社が多かった時代でした。 それが、この引き抜きの嵐を 引き起こしてしまった主因だと私は思っております。 人間は、自分が認められると思える環境で働きたい と思うはずです。 それが満たされていれば、仮に引き抜きがあったとしても、 そうそう多くのチームが話しに応じるはずはありません。 類似ゲームのお話については、私は基本的には 開発すべきでは無いと思っております。 ところが、開発者にとっては、 自分のアイデアを具現化させたゲームは 自分の作品、子供だと思っている方が多いのも事実です。 その中で、会社を変える事は、 販売会社を変えるだけともとれます。 権利的には会社に帰属すると思われますが、 何処までが許されるかについては、 法的にも判断が難しいところです。 繰り返し申し上げますが、私は会社を移籍した場合に 類似ゲームを製作する事については 反対の意見を持っております。 然し、ゲームを作った当人が、自分が作った作品をより昇華させ 世の中にリリースしたいという気持ちについては 同じ開発者として理解出来ますので難しいところです。 最終的に、私が願う事は、 引き抜き云々がゲームの質を 下げないようにだけ願っております。 全てはゲームの質が上がるために、 開発者も会社も動いて欲しいですね。 最後に、私自身が開発者のために、 開発者寄りな意見になってしまっている事については 異論はございませんが、 上記の話について、 一つの意見として受け取っていただければ幸いです。 追伸: 最近も、まだ引き抜きはあります。 もっとも、昔よりは遥かに少なくなりましたが・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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