「経験したことのない」
新型コロナウィルスについて「経験したことのない」という形容詞で語られますが確かに「敵」が人でなくて、目に見えなくて、今まで絶対だと思っていたものがあっという間に崩れて、しかもテクノロジーが一気に各家庭に押し寄せてくるというところでは、今までになかったことのように思いますしかも何が本当かわからない、原因も治療法もない。そしてこのウィルスによって世界中がお互いを非難したり憎んだりし始めた、というのも私が生きていて初めての経験かもしれません。3.11の時もリーマンショックの時もそういうことはなかったと思います。ただ、癌という病気に立ち向かわざるを得なくなった方々は皆さんその「経験したことのない」試練という意味ではすでに個別に深く、傷ついていらっしゃるはずです。変な話ですが、主人が発病手術したのが2010年だったので私の中には3.11のことはほとんど何の記憶にも残っていません。こんなことを書くと被災された方に申し訳ないのですがたぶん私の中では2010年にもうすでに、3.11が発生していて実際の3.11は、自分の中の風景が現実化したようなそんな離人症的な受け止め方でした。ですので今回の新型コロナのショックを見て逆に急にあの時の2010年の時の気持ちが甦ってきました。今の手洗いうがい、消毒、距離などへの神経質なくらいの注意と同じくらいあらゆることに気をつけたし、それを阻むものに対しては泣きたくなるような怒りがこみ上げてきました。でもだんだん、生き方の調和がとれるようになってきます。泣きたくなるような怒りではなく笑って見守るみたいな…社会全体が早く調和を取り戻せますように。そんな風に思います。