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garasha_do999

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Jan 28, 2006
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カテゴリ:韓国映画
各地の映画祭や企画上映なども含め、今年は韓国映画の上映が目白押し。この勢いだと、今年の上映本数、観客動員は、恐らく過去最高を記録するのではないでしょうか。ドラマのほうも相変わらず盛り上がっているようですが、今年は“映画の年”? いや、本当にそんな予感がします。

新文芸坐「“韓流”シネマコレクション2006」の二本立て、「おばあちゃんの家」の続く二本目です。
私、韓国映画ファンを自称し、一部の映画に入れあげてはいたものの、本数自体はあまり数多く観てはいないんですよ。とくに、ヒット作に関してはだいぶ遅れていると思います。この映画もその部類で、今回が初めてです。
映画の内容はちょっと予想外でした。予告編は観ていましたけど、いい意味でこういう映画だとは思っていませんでした。
おばあちゃんの家」「八月のクリスマス」と、二本続けて観られて充実感がありました。終わったあと、体がほってっていたほどです。帰り道、“悲劇にみまわれた”のに、それでも観にいった甲斐がありましたもの。

【解説】

昨年末日本でも公開され、大ヒットを記録した「四月の雪」のホ・ジノ監督の、デビュー作にして代表作。先日紹介した「春の日は過ぎ行く」が二作目となります。
主演は、「この人が出る映画は必ずヒットする」とまでいわれる韓国映画界きっての“ヒットメーカー”ハン・ソッキュ。小さな写真屋さんをひとりで切り盛りするユ・ジョンウォンの役です。
相手役のキム・タリムを、いまや“伝説の女優”となってしまったシム・ウナが演じています。駐車違反を取り締まる仕事をしています。駐車違反の取締りというと、日本では交通課の警察官の仕事ですが、韓国では自治体の職員の仕事なのでしょうか? 映画ではそんな感じです。
シム・ウナといえば、「インタビュー」(1999年)を最後にスクリーンから遠ざかり、復帰を待望する声が高かった大スターです。“引退説”と“復帰説”が交互に飛び交うなか、昨年、結婚、事実上の“引退宣言”があり、復帰は絶望的となりました。うーん、残念です。
この映画、日本でリメイクされてたんですね。昨年公開されたようですが、知りませんでした。ヒットしたのでしょうか? 日本版のほうは、山崎まさよし関めぐみが主演。山崎まさよしといえば、「月とキャベツ」は観ています。俳優としても雰囲気のある人ですね。

【ストーリー】(ネタバレ、寸止め!)

ユ・ジョンウォンは、街の片隅で小さな写真店をひとりで営んでいます。彼は自分が病に侵され、死期が近づいていることを悟っていますが、平素を装い、日々の生活を何ごともないかのように、お客さんたちには笑顔を絶やさず過ごしています。
自宅では、父親と二人暮し。母を失ったときの記憶と自分の死を重ね合わせて思い悩む半面、そのときの父の気持ちも察して心を痛めています。
ある日、知人の死の知らせが舞い込んできて葬式に出かけます。死というものを改めて突きつけられたジョンウォン。笑顔を大切にしている彼も、さすがにこのときばかりは笑顔を失います。
店に戻って苦悩の表情でソファにぐったりしていると、そこへ制服姿の若い女性が写真の現像を頼みに駆け込んできます。急がせる彼女を外で待たせ、ネガを現像機にかけている最中、外で待っている彼女の姿が目に入ります。暑い最中、ヤキモキしている様子。ジョンウォンはアイスキャンディーを持って彼女のところまで走ってゆきます。それがタリムとの出会いでした。

【感想と紹介をかねて】

死を待つ人の心境とは、どういうものなのでしょうか。私も多くの人の死に直面しましたし、その悲しみも味あわされました。でも、それを自分のことと置き換えて想像することはできても、実感することはできません。また、心のどこかで“自分の死”について、相続とか葬式の費用とか物理的なことは一応考えるにせよ、“死”そのものについては受け入れられない弱さを感じています。
ジョンウォンの場合、彼が笑いを絶やさず、普通に過ごそうというのが、死を直面した彼が自分に課した選択だったのでしょうか。でも、こんな場面がありました。
ジョンウォンが旧友と飲みなれない酒を飲んだ後、酔った勢いで冗談めかして“死の告白”をします。その後、はしご酒をして何かのトラブルで、気がつくと派出所にいるという場面です。派出所の中は、同じように酔払って騒ぐ人、反抗する人たちで大騒ぎになっています。ジョンウォンは泥酔し、ベンチの隅でぐったりしていましたが、突然立ち上がり静かにしろと叫んだかと思うと泣き崩れます。「静かにしてくれ」というのは、彼の“心の叫び”であると感じられました。せめて、穏やかな死を望んだのでしょうか。胸が締めつけられる思いでした。

タリムとの出会いはジョンウォンにとってささやかな救いであり、束の間の心の安らぎだったのでしょう。この映画では、ベタな恋愛シーンは一切描かれず、淡々とジョンウォンとタリムの心の交流を穏やかに描き出しています。それが、せつないものでありながら、かえってみずみずしく感じられて好感を持てました。というよりむしろ、このさりげなさがかえって心にしみました。

ハン・ソッキュというとこれまでの私の印象では、感情溢れるメリハリある演技が巧いと俳優さんとしてイメージしていましたが、違う一面がみられました。ちょっと無骨さが出ているところもこの映画での彼の魅力であり、半面、数少ない場面ではあったものの、デリケートな演技にジョンウォンの死への不安、恐怖、悲しさ、遺す人たちへの愛が凝縮されていました。
“優しさ”が表現できる、数少ない俳優さんであることを再認識しました。

“伝説の女優”シム・ウナ… なんて、魅力的なんでしょう。この映画が出るまでドラマでしか成功がなかったというのは本当でしょうか? それ以前の映画というのは知りませんが、正当に評価されなかったか、作品に恵まれなかったとしか考えられません。
この人もきれいな人であることには異論はありません。でも、それ以上に生き生きとした表情に、すごく存在感を感じさせてくれています。光を放つような魅力です。

何気ない会話にちょっとした心の機微、ホ・ジノ監督のディテールへのこだわりがうかがえます。嫁いだ先で離れて暮らす妹との会話、父との接し方、友人との交流、かつて好きだった人とのさりげない再会…タリムとの淡い恋物語を軸に考えれば周辺的とも思える主人公の対話のなかに、ジョンウォンの人柄が鮮やかに表現されています。
静かで穏やかなタッチなのだけれども、後で考えると息をつく暇もないほどひとつひとつの場面が練り上げられていました。こういう映画が撮れるなんて、素晴らしい才能だと思います。

これほど、多くの指示を得ている映画も珍しいです。私はどちらかというと、人からあまのじゃくのように呼ばれ、大ヒット作には“いちゃもん”をつけるといわれ、よく怒られます。でも、この「八月のクリスマス」は文句のつけようがありません。
感動というにはあまりにも静かで、それでいて突き上げてくるような胸の痛みを感じました。

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Last updated  Jan 28, 2006 12:44:33 PM
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