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カテゴリ:韓国映画
この映画はたいへん興味深い映画です。
たった10年ほど前の映画だというのに、もっと昔の映画を観ているような錯覚にとらわれてしまいます。しかし、それを「古い」という言葉で切り捨てられないほど、当時の韓国を映し出していると同時に、歴史の傷、人々の痛みをも映し出しています。 簡単にストーリーをご紹介します。 自分が勤めていた出版社の倒産、その出版社を放り出して恋人が失踪…失意のうちにイ・サンミン(チェ・シラ)は、テレビCMの製作会社に就職します。 しかし、そこは男社会。女性への風当たりは強く、サンミンにも例外ではありませんでした。 そのなかにあって、ソ・ジホン(ヤン・グムソク)は女性でありながら、会社の幹部にたいしても自分の意見をぶつける部長。ソ・ジホン部長はサンミンに目をかけてくれます。 ある日、サンミンは自社で作られたコピーの原稿を持って、コマーシャル・フィルム監督のキム・ギュファン(ムン・ソングン)の元を訪れます。このキム・ギュファン監督、持っていったコピーにさっそくダメ出し、サンミンにその場で書き直しを迫ります。 この後、男性社員たちの風当たりは次第に強くなり、会社上層部の圧力も増していきます。「女が志を持って仕事をするということが、そんなにいけないことなの? 」と言いたくなるくらいに、男の醜いひがみ・ねたみが押し寄せてきます。 その一方で、サンミンはキム・ギュファン監督と戦争のような仕事を繰り返し、ソ・ジホン部長の後押しに自信をつけ、「広告で世の中を変える」という野心を抱き、コピーライターとして突き進んでゆきます。 キム・ギュファン監督は、やり手のプロフェッショナル。サンミンが女であることに容赦しません。手加減せずに、自分の主張をぶつけてきます。でも、サンミンには、どこか通じ合う部分を感じています。彼もまたサンミンと同様、根深い過去の傷を抱えていました。それが、映画が進むにつれ次第に明らかになってゆきます。 ソ・ジホン部長も自信家で負けず嫌い。社内の敵を相手に、強力な舌鋒でサンミンをバックアップします。しかし、一方で強引さのあまり部下が離れていったり、仕事と家庭の間で苦しんだり、そして… サンミンはそのなかで、闘いながら生きていきます。 映画のタッチが時代がかっていてB級なイメージすら与えますが、この映画が描き出そうと試みたものは社会問題と、時代の歪み、そして壮大なロマンです。女性の社会進出、未婚の母、報道の良心、一時日本でも報道された軍事政権に抵抗しての焼身自殺、アフリカの難民の飢餓・貧困…といったものまで映し出してゆきます。 “韓流”ファンの多くのかたは、この映画をご覧になることはないでしょう。でも、韓国に関心のあるかたなら、こういう映画もあるのだということでご覧いただくのもいいと思います。 おもしろい映画だとはいいません。いまの活況な韓国映画産業では、作られるはずのない映画ですから。 ただ私的には、いろいろなものが詰まっていて濃密な時間が過ごせたのではないかと思います。 それと、ムン・ソングンファンのかた、「グリーンフィッシュ」を観て少なからず彼に魅力を感じるかたは、日本で観られる数少ない映画です。「グリーンフィッシュ」よりも、ムン・ソングン氏の魅力が伝わってきます。“アク”の強い俳優さんですが、終盤ナイーブな場面もありました。ヌード・シーンも?!ありました。 「ネオンの中へ陽が沈む」には、イ・ビョンホン氏も出ているんです。でも、「イ・ビョンホン出演!」とは書けないほど、あっという間のシーンです。 監督はイ・ヒョンスンはいろいろ読んでみると、韓国フェミニズム映画の代表のように書かれています。この映画もそうでした。「ネオンの中へ陽が沈む」の後、しばらくメガホンから遠ざかりますが、「イルマーレ」で5年ぶりに復帰しています。 【イ・ヒョンスン関連】 ![]() ![]() ![]() ネオンの中へ陽が沈む ◆20%OFF!(DVD) イル・マーレ(DVD) もし、あなたなら ~6つの視線 ◆20%OFF!(DVD・製作総指揮) 【ムン・ソングン関連】 ![]() ![]() グリーンフィッシュ<韓国映画DVD特集>●便利なコンビニ後払いが可能! オ!スゾン DVD/リージョンコード 3 ※リージョン3のDVDは、プレイヤーの機種をお確かめのうえご購入ください。 ⇒ マルチリージョンDVDプレイヤーのお求めはこちら 明日から、また新しいネタをやります。おたのしみに。それでは。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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