カテゴリ:メディア
フジ木曜10時のドラマはたまにハマるのですが、久々に欠かさず見てる。子どもたちにリアルだと共感されてるという噂どおり。今日の報道でも、自殺者3万人がつづいていてしかも若い子たちに増えているという。まさに現状はドラマなみに深刻なのである。ドラマには身近で見聞きする生活シーンの断片が丁寧に入ってきて、いちいちうなずいてしまう。もう少し身の回りの大人たちは信頼できる存在でしょう?と、もちろん自分も含めて主張してはおきたいけれど、「正義感」で突っ走れるほど人間は単純な存在でない、ということを見せつけられて悲しくもなる。
このドラマには家族生活の場面がほとんどでてこない。学校とビルと繁華街で子どもたちは日常を過ごす。子どもが小学生だったころにこのドラマを見ていたら、多分リアルに感じることがなかったように思う。でも、子どもたちが中学、高校となったいまでは想像できる。とにかくこの年代の子を持つ親たちは生きるために毎日必死で働いている、という現実をいつも肌で感じているから。 数年前に、ある郊外地区の中学校へ学生とインタビューに出かける機会があった。その時に、校長先生がしんみりと語っていた「子どもたちはみんな、寂しいんですよ」という言葉が、ずっと心の奥に引っかかっている。実際、ひとり親の子たちも多く、2人いても仕事で出ずっぱりなのは当たり前。子どもを置いてどこかに消えてしまっていることさえめずらしくない、という地区だった。移民率も高く貧困層も多い。そして印象的だったのは、全く違う恵まれた地区に住んでいる学生が、心底ショックを受けていたことだった。同じ都道府県の中で、ほんの電車に少し揺られただけなのに、世界にすざまじい分断があるのだ。 私はたぶん恵まれてはいても混在している地区にいる。子どもが幼いときから似たようなペースで働いてきたら、いつのまにか私はヒマがある人間になっていた。この間まで専業主婦だったはずのまわりの母親たちは、パートに出て、いまではいくら条件が悪くてもフルタイムなみの長時間仕事に出ており、文字通り忙殺されている。PTAの仕事などとてもできないのは当たり前かもしれない。ふつう彼女たちには家事を分担してくれる人などいないし、介護すべき人をかかえていることもある。厳しい家計を捻出して、子どもたちは受験のために塾で忙しい。留学生ホームステイの引き受け手が、ここ数年全くいなくなってしまったという。何かがすっかり変わってしまったのだ。もう、どこにもゆとりある主婦たちはいない。 痛々しい子どもたちの陰で、親たちは子どもたちのためにこそ、自分を損なうまでに働きつづけている。みんな頑張っているのにすれちがっていく。この恐ろしい循環からどうやって抜け出せばいいのだろうか。ドラマは、こんなやりきれない現実から目をそらさずに語りかけてくる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/06/08 03:26:47 PM
[メディア] カテゴリの最新記事
|