品田知美の空中庭園

2008/04/10(木)00:52

旅立ちの春

家族(6)

 子どもたちはそれぞれ新天地を求めて旅立っていきました。普通の親よりは少し早めのいわゆる「空の巣」状態ですね。幸い心にぽっかり穴があくほど親業に専念していたわけではないので、抜け殻になることはなさそうです。それでも、ふといつもの街を歩いた時、ここを子どもと歩くことはもうないかもしれない、と少し感傷的な気分に浸っていることも確か。  じつは、私も今ごろ新天地にいるはずだったのに、直前になって予定が変わりました。多くの方から4月の新生活はどうですか、というご連絡をもらうのに十分返事ができなくてごめんなさい。それに、ご連絡が行き届いていない方が大勢います。事情を説明しつづけるのにも疲れてしまいました。残念ながら経緯につきましてここでは詳しく語れないことをお許しください。事実を単純にいえば非自発的な失業をしたということになります。思いもよらないことで、今は茫然としつつも目の前の雑事をこなしています。  職を失った日から自分でも驚くほどにニュースの見え方が変わり、新鮮でした。そこは転んでも社会学者の魂だけは消えなかったみたいです。失業者に関する記事とか労働関連ニュースが自分に置き換えできる「一大事」として目立つ。そして地球温暖化とか環境問題のニュースがどうでもよく見える(笑)。というわけで全然緑じゃないブログが続くかもしれません。やはり人間先立つものがなければ周囲のことまで考えられないのでしょう。まして、いつか遠い将来の話に関心を持てなくなるんです。さすがに雑草のごとく生きてきた私もすぐに頭を切り替えられませんね。  それでも私はいまのところ多少の蓄えがあったりして何とか食いつなぐこともできていますし、周りの人も何かと支えてくれる恵まれた失業者でしかないんですが。ただ、この業界には失業保険というものがなく、私は「失業者」にすら数えられない存在にすぎないのですから、弱いものですね。  とはいえ、少し時期は遅れたものの、諸般の事情からもうすぐ遠方へ引っ越しします。そこでようやく私にも予定とは違った旅立ちの春が訪れるでしょう。それがよいものとなるように、準備していきたいと心しています。皆さんの暖かい励ましに感謝しています。けれど、正直に言ってあんまりすぐには頑張れません。子育てと仕事で忙しかったこの18年間を振り返りながら、自分を見つめる一年にしたいと思っています。もちろん、新たな職探しにも力を注ぎます。今後とも、変わりないお力添えをよろしくお願いします。

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