genki’s room

2010/12/27(月)01:23

医師の見解と都合

こだわり(58)

 ----続き---- 22.12.24    朝、姉に電話すると、「木曜日は先生が休みやったから連れて帰られへんかった。今日退院させるつもりやけど」と言いました。  昼前に病院へ行きました。姉は母と話していました。母は5日前より萎んで小さくなっていました。 私「退院出来そう?」 姉「先生は午後からやないと、話でけへんねんて」 私「おっちゃんがオンボロ病院でほったらかされて死にかけてた時、救急車に来てもうてK病 院へ移してんで」 姉「病院に、救急車来てくれるのン!?」 私「救急車来たら、病院の評判あがるねんて。病院へ来たか出るか、近所の人は判れへんも  ん」 姉「ふうん。病院は嫌がると思てた」  母が「お腹すいて死にそうや。1週間も日干しやでェ」言いました。点滴ではお腹はふくれないようです。義父の場合は、点滴を始めて二日目に意識不明になりましたから、空腹感があるのかないのか、私達には判らなかったのです。 母「こんなん治療と違うで。拷問や」  幸か不幸か、母の頭ははっきりしていました。  姉は持って来ていたカステラを、小さく千切って母に食べさせました。 母「おいしい。美味しいけどお腹がびっくりするから、これでええ。お茶、飲むわ」  昨日はジュースを飲ませてもいいかとナースに訊いたら、先生の許可がないとダメと言われたそうです。義父が絶食10日めに亡くなったのは、薬が効いた効かないの問題ではなく餓死だったかも知れません。 「うちの薬、飲んどく?」姉は母に我が家の家伝薬を一サジ飲ませました。  向かい側のベッドは3つ空いていました。一人で食事出来なかった人が退院する筈はないので、「死にはったん?」と姉に訊きました。 「向こうの方の部屋へ移しはったらしい」  でも、『向こうの方の部屋』へ姉は見に行ったわけではありませんから、本当のところは判りません。  午後のおむつ交換が済んだあと、母は家の中のどこそこに20万円隠してるから、持って来て支払してと姉に言いました。 母「ベッドの下の青い箱の底の方に○○銀行の通帳がある。100万円の定期や。ハンコは----- ---の中にある。委任状書いて持って行ったら出る」 姉「なんでそんなんがあるのん?」 母「あるねん」  銀行のも郵便局のも自分が管理しているのにおかしいと姉は言いました。本当にあるのか母の妄想なのか、確認してみないとわかりません。  3時過ぎに、「先生がお話します」とナースが呼びに来ました。詰所の奥のデスクの前に先生はいて、血液検査表の数値を示しながら説明しました。 「だから、今の治療で良くなっています。白血球もぐんと減りましたから、薬も合ってると思います。ただ、肝臓が悪くなっていますので、薬の副作用が出始めたと思うんです」 それが一番怖いのです。ドクターは、どの薬が合うか合わないか試行錯誤です。私達は、我が家の薬は間違いなく効くと信じています。 「家へ連れて帰りたいと思うんですけど…」  と姉は言いました。センセイはMRIのフィルムを吊るして更に丁寧に説明しました。 「いま点滴で送り込んでいる薬を急にやめると、またぶり返しますよ。水曜日までに、口から食べてもいいように調整します」 「29日で、今年はおわりなんですねえ」 「はい。30日から私は休みです」  先生のスケジュールに病人の体調を合わせるというわけです。 「家で死んでもいいから帰る、と言うてますねん」 「明日の血液検査の結果をみないと、ねえ」  入院予定約2か月の患者が半月で退院したら、担当医の責任になるのかも知れません。折角の客を逃がしたという責任…… 「お腹がへって死にそうやと言うんです」 「では、今夜から重湯にしましょう。明日は薄いお粥」  そう譲歩されては仕方ありません。水曜日まではあと3日です。姉と私は、3日待つことにしました。重湯とお粥がすんなりお腹に収まってくれるよう願うしかありません。 「あんなに帰りたい言うてるのに帰られへんかって、此処で死んだら、後悔するよ」

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