ブログ「鉄道幻灯館」

2009/01/11(日)07:39

超爆煙の貨物列車

中国の鉄道(82)

朝一番の客車列車と、その返しを撮影したあと、次の貨物列車に備えて撮影ポイントを変えることにしました。場所はそれほど離れておらず、線路がS字を描いているところも似ているのですが、駅の手前という場所柄、開けたロケーションになっています。 専用車が撮影ポイント近くに到着すると、同行のメンバーはそれぞれ思い思い、自分の好みに従って撮影場所を選びます。わたしは、小高い丘の上から線路を見下ろす場所を選択し、そこへと続く坂道を上りましたが、わたし以外は線路を水平方向から見る位置を選択したようです。わたしが立つ俯瞰ポイントはサイドから逆光気味に光が当たるのですが、友人たちの場所は順光に近い位置取りとなります。 中国の貨物列車は、日本ほど、運行時刻がはっきりとしていません。10時か11時ごろ、とアバウトな場合が大半です。当然、10時に備えてセッティングし、待機するのですが、予定時刻が過ぎても来なければ、あとまだ1時間待たないと来ないのか、とがっかりします。冬場は零度に近い(それより下がっているときも多々ある)気温の中、屋外でじっと待つのは正直、つらいものがあります。中国で蒸機を撮影すると、「忍耐」という修行を積むことができます(笑)。分秒たがわずに運行される日本の鉄道の正確さを、改めてすばらしいと感じるようになります。 この日の貨物も、10時が過ぎたにも関わらず、やって来ませんでした。やはり、11時か……。同行してくれている中国人のガイドさんと、よもやま話をしながら時間をつぶしましたが、11時を過ぎた頃、山2つほど越えた彼方に蒸機の煙と思しきものが見えました。それから10分くらい経ち、ようやく機関車のブラスト音がはっきりと聞こえるようになってきました。それまで何回となく繰り返してきた露出やフレーミングの最終的なチェックを行い、本番に備えます。 貨車は空車とはいえ、勾配がきついため、わたしが予想していた以上に煙が上がっています。立ち昇る爆煙を収めるため、少しワイド側に画角を修正しなければなりません。とてもうれしい誤算です。速度が遅いため、縦位置、横位置、また縦位置と、フレーミングを変えながらシャッターを切っていきます。逆光気味のため、かえって煙に立体感が出ました。機関車がS字カーブの構図にフレームインし、フレームアウトするまでの約1分間は、表現のしようがないほど至福の時間でした。気がつけば、フィルム1本分に相当する30数カットを撮影していました。そして列車通過後、隣りでシャッターを切っていたガイドさんと大きくガッツポーズを交わしたのです。

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