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 小説ブログ 「GO!GO!花園」

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ようこそおいでくださいました。Madam Garden こと花園夫人です!

オムニバス短編小説で、駐在員団地のばたばたな日常を書いてます。

この物語はフィクションであり、実在する企業、団体、人物などとは関係ありません。C国は架空の日本の隣国…っていうか明らかに中国ですね。でも、Q市はあくまで架空の一都市です。登場人物も特定の個人をモデルとするものではなく、すべて作者の想像上の産物です。

作者の注意散漫なうっかり体質による読み苦しい間違いも多々あるかと思います。広い心で付き合ってください。

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2010年05月18日
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GOGO花園って何?って方は、第一回のコチラから
この章をはじめから読むにはココ

 ○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●  迷える羊の幸恵さんの巻 (9)全治一ヶ月


  クリニックについて受け付けに名前を告げると、タクシーの中から電話して助けを求めた夫が、保険会社に連絡を入れ話を通しておいてくれたおかげで、スムースに待合室に通された。午後のあまりこんでない時間帯なのも幸いした。クリニックでは何処からか赤ちゃんの鳴き声が聞こえてくるほかは、しんとしている。

  幸恵はちょっと考えてからトイレにたった。足を医者に見せるにために診察室でタイツを脱ぐ羽目にはなりたくない。素足になって、片方だけ靴を履き、ぶつけたほうの足に宮地さんが受付に何か言ってもらってきてくれた使い捨てスリッパを履いた。まだ裸足でいるには肌寒いのだが、まさか片足だけ抜いたタイツをぶら下げているわけにも行かない。簡易スリッパから出るつま先は、心なしかさっきよりどす黒くなって腫れていて、まるで自分の足ではないようだった。それにしても憎きはあの看板、マツサーヅってなんなのよ。

  クリニックの受診は、宮地さんが何かと気を回してくれたからスムースにいった。保険会社から派遣されてきた通訳もいたのだが、日本語が多少分かる以外はまったく使えない人で、宮地さんにも診察室に入ってもらって助けてもらった。英語がちょっとできる元バックパッカーの宮地さんのほうがずっと役に立つ。役に立つし、心強い。

「今日はいろいろ助けてもらって、ほんとにありがとう。」

幸恵は何度も礼を言い、宮地さんはそのたびに笑顔でかぶりを振った。。 

  結局、幸恵の左足は小指が骨折していた。しかし、足の指は直りが早いとのことで、うまくいけば3週間かからずにくっつくそうだ。くっつくまでの3週間とあと残りの一週間を様子を見ながら大事に過ごせばあとは元通り。そう告げられた幸恵は、痛み止めの薬を何種類かもらい、でっかい添え木をあてられた左足を引きずって使い捨てスリッパのまま帰宅した。

  その日の夕方、幸恵がまどかと出前の夕食をテーブルに並べていると、夫の亨は、心配そうな顔をして早めに帰宅してきた。今日は妻の怪我が心配だったので、早く切り上げて帰ってきたのだった。亨は帰路タクシーの中で、引っ越してきた当初は緊張のせいかやけに元気がよかった妻がここしばらく元気がなくなり、日常のちょっとした出来事や酒井さんの奥さんとの関係に悩んでしおれたようになってきていることを考え不安になっていた。今回の事故がきっかけで、このままウツにでもなってしまうのでは。これも自分の仕事のせいで外国に引っ越してきたことが原因かと考えて罪悪感にさいなまれた。

  しかし、まどかにあれこれ手伝わせながら、今日の出来事をおしゃべりする幸恵の顔は意外にも明るく、その後も幸恵は亨の心配に反して不自由な足元をもてあますように日に日に快活になっていった。怪我が直るまでの一ヶ月、実際は一ヶ月もかからず3週間であったのだが、幸恵はみるみる元気を取り戻した。

(つづく…)

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最終更新日  2010年05月18日 15時18分10秒
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