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 小説ブログ 「GO!GO!花園」

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ようこそおいでくださいました。Madam Garden こと花園夫人です!

オムニバス短編小説で、駐在員団地のばたばたな日常を書いてます。

この物語はフィクションであり、実在する企業、団体、人物などとは関係ありません。C国は架空の日本の隣国…っていうか明らかに中国ですね。でも、Q市はあくまで架空の一都市です。登場人物も特定の個人をモデルとするものではなく、すべて作者の想像上の産物です。

作者の注意散漫なうっかり体質による読み苦しい間違いも多々あるかと思います。広い心で付き合ってください。

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2010年06月15日
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C国Q市に駐在する日本人駐在員の集まる駐在員団地で奥様たちが繰り広げるオムニバス物語。フツーな人がいないといわれるGOGO団地。人の多く住まうところ、愛あり、憎しみあり、噂あり。駐妻の秘密の花園。


GOGO花園って何?って方は、第一回のコチラから


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まよえる羊の幸恵さんの巻 
~番外編~(11)幸恵さんのその後


マッサージ店の看板に心と目を奪われすっころんだ秋元幸恵は、包帯の取れたその周からQ市の中心街のC国語教室に通い始めた。はじめの2ヶ月の進歩は目覚しく、教科書の例文を丸暗記して毎日の生活に無理やり使っているうちに、単語をすりかえて応用を利かせられるようになり、日常の買い物、レスタランでのオーダーなどだいぶこなせるようになった。しかし、3ヶ月目にはいると教科書のテキストが長くて覚えるのが追いつかず、進歩はの速度はぐっと低下した。漢字が読めるで文章の意味が分かるだけに、ついわかった気になってしまい、実際に自分が喋る段になってC国語の発音がでてこない。幸恵が出入りするようなところは外国人が多く、応対に当たるスタッフも外国人になれていて、日本語が片言できたりするので、C国語が必要とされる機会は限られていて、追訴の状況に胡坐を掻いてしまう。

まあ、いいか。C国語は、できたら便利、できなくてもどうにかなるくらいの気持ちでぼちぼち勉強していけばいいと思っている。毎週二回のレッスンの後三回に一回ぐらいはみんなでランチに行ったり、買い物に行ったりして、情報交換やおしゃべりに花を咲かせる。ここで得た情報で生活がずいぶん便利になったし、楽しみも増えた。宮ちゃんの集めたほかのメンバーは幸恵たちよりも5~6歳年が若いので、子育てのこととなどをいろいろ相談してきたりする。酒井さんとばかり行動していたときには、いつも頼る側だった幸恵にはなんだか新鮮だ。夫の亨も、友達ができて楽しそうにしている幸恵を見て喜んでいた。

宮ちゃんとは特に仲が良い。週に二回顔を合わせるほかにしょっちゅう携帯でメッセージを送りあう。メセージといえば、C国語を始めた当初は憧れだった携帯のテキストメッセージも、実はまだ満足に送れない。ごく簡単なものなら送れるが、書きたい漢字の発音が分からないので入力に以上に時間がかかる。幸恵の持っている機種は予測変換のメモリー機能も今ひとつで、たかだか2~3行のメッセ字を書くのにいつも膨大な時間がかかる。中学高校大学と何年も習った英語のほうがまだマシで、今でもメッセージはもっぱら英語である。特に幸恵と宮地真理の間では、宮地が英語をわりと得意としているので、英語ばかりである。

幸恵と、宮ちゃんは何をそんなに頻繁にショートメッセージでやり取りしているのかといえば、彼女達が街角で見つけたヘンな日本語の数々である。きっかけになったマッサージやさんの看板については、その後Q市の散策中にいろんなのに出会い、宮ちゃんも幸恵もも一家言持つほどになっていた。いわく、マッサージという単語ほど簡単そうで一筋縄で行かないものはない。撥音の小さいツ、カタカナのツとシが似ていることC国語にはない長音の棒などトラップ盛りだくさんで、珍妙になる可能性をたくさん秘めている。宮ちゃんは最近、正しく書かれたマッサージ屋の看板を見るとなんだかがっかりするほどになったという。

宮ちゃんの膨大なコレクションからお気に入りを上げると、撥音はクリアしたものの、長音のトラップに引っかかり、最後に気が抜けて字自体を間違ってしまったと思われるこれとか、

nozu.jpg


マツサノヅ(5文字中正解は2文字)

隣にあるC国語がなかったら元は「マッサージ」だったこと自体想像もつかないようなこれとか、

suji.jpg

などがある。後者については幸恵と宮ちゃんはひとしきり話し合った。
マッサージ→スジサジ (5文字中正解は1文字)

マとスはいわれてみれば似てなくもない。撥音のツがシになったのも理由のある間違いに思える。サは奇跡的に正解。漢字に似ているからか?長音については完全無視。ジが最後の最後に良くがんばって正解。で、2文字目に戻って、正解の余韻で本来小さいツだっだシに大盤振る舞いの濁点をつけておしまい。いったいどれだけの過ちを重ねたらあの純粋な乙女がこんなすれっからしに…ではなくマッサージがスジサジになるのだろうか?…いや、これはもしかして新手の筋に働きかける按摩の一種なのかもしれない。


マッサージ以外にもいろいろある。台風で洗濯物干しが倒れて壊れ、スーパーに新しいものを買いに行った幸恵が見つけて店頭から、宮ちゃんに送ったのが、これ。

!期の星.jpg

こうして、幸恵は毎日楽しく送っている。新しいことにチャレンジして、頼れる友達もできた。夫の仕事や家庭のことなど笑っていられるばかりではないのだが、とりあえず危機からは脱却。なれない外国暮らしの駐在生活、いいときもあれば、また不調の波もやってくる。でもまあ、それは、また別の機会に。

(この巻はほんとにこれで終わりです…でも後日加筆アップするかもです。)






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最終更新日  2010年06月15日 16時39分21秒
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