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 小説ブログ 「GO!GO!花園」

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ようこそおいでくださいました。Madam Garden こと花園夫人です!

オムニバス短編小説で、駐在員団地のばたばたな日常を書いてます。

この物語はフィクションであり、実在する企業、団体、人物などとは関係ありません。C国は架空の日本の隣国…っていうか明らかに中国ですね。でも、Q市はあくまで架空の一都市です。登場人物も特定の個人をモデルとするものではなく、すべて作者の想像上の産物です。

作者の注意散漫なうっかり体質による読み苦しい間違いも多々あるかと思います。広い心で付き合ってください。

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2010年09月06日
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C国Q市に駐在する日本人駐在員の集まる駐在員団地で奥様たちが繰り広げるオムニバス物語。フツーな人がいないといわれるGOGO団地。人の多く住まうところ、愛あり、憎しみあり、噂あり。駐妻の秘密の花園。


GOGO花園って何?って方は、第一回のコチラから

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夏の夜の怪談 のろわれた館の望さんの巻

(1)超バタバタな引越し

  吉田望と吉田浩二の夫婦がGOGO花園に入居したのは季節外れの5月であった。今回の赴任は内示を受けてから辞令まで2週間、辞令から引越しまで10日間という非常にめまぐるしいスケジュールであった。夫の浩二から海外転任の可能性をことあるごとに聞かされていた望にとっては、青天の霹靂とまでではなかったが、いつかは来るとは思っていた客が、ついに来ると聞かされた瞬間に玄関のチャイムが鳴り、玄関に走っていってみると客はすでに上がり框に腰掛けていたようなもので、十分に驚いた。それにしても時間がない。吉田家初の海外赴任は3年間住んだ東京郊外のマンションを引き払ったり、望に戸惑ったり、別れを惜しんだり、期待に胸を膨らませたりという余裕をまったく与えないまま進んでいった。

  幸いなことに住むところはすぐに決まった。去年から出張で何度もQ市に行った事のある夫が、引越しの直前一週間前にQ市に出張した際に、会社が利用している不動産屋を介して見つけてきのが豪豪花園であった。住居環境が整っていて、自家用の車がなくても不便のない、市の中心部へのアクセスも整った市内随一の優良物件と浩二は得意そうに言うのだが、Q市のことは何も分からない望にはただ黙ってうなずく事しかできなかった。

  しかし、夫の撮ってきた何枚かの写真は、望を安心させた。なるほど、十級環境は整っている。オレンジの瓦風の屋根のついた白壁のマンションは南カリフォリニア風だそうだ。敷地内に公園もあり、5歳の娘のひかりも喜ぶだろう。いたるところにある花壇が綺麗に手入れされていて色とりどりの花で埋まっている。花壇の後ろには背の高い木が何本も青々と葉を茂らせている。C国に行くことになって、今まで持っていた発展途上国というイメージからどんな生活になるのかとびくびくしていたのだが、住居環境は日本よりずっといいではないか。日本人幼稚園への送迎バスが発着して、雇いたければ、メイドが時給二、三百百円で雇えるという。

  さらに望は、日本にいたときに比べマンションのの面積が2倍になることを聞いて喜んだ。家賃は、もちろん会社負担。聞いてみると家賃も結構高い。実際の家賃として支払われる家賃では東京では到底同程度の物件は借りられないが、中堅サラリーマンの30代の夫が家賃としてほいほい払えるような額ではない。

  引越しの件が浮上して以来、忙しく準備に走り回りながら、息継ぎでもするように、何かにつけて電話をしては愚痴を聞いてもらっている姉はそれを聞いてこういった。

「そうなのよ。発展途上国に赴任するメリットはそれ。一般の人たちの生活水準が低いから、駐在員とかの外国人用に作られた施設が整っていて豪華なのよ。大変かもしれないけど、おいしいことだってあるんだから、浩二さんの出世のためにもがんばってきなさいよ。」

  とりあえず会社もちで広い家に住める。夢の海外駐在生活の第一歩はクリアかも、吉田望は引越しのごたごたの中で始めて明るい気持ちになった。

(つづく)





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最終更新日  2010年09月06日 13時22分01秒
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