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 小説ブログ 「GO!GO!花園」

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ようこそおいでくださいました。Madam Garden こと花園夫人です!

オムニバス短編小説で、駐在員団地のばたばたな日常を書いてます。

この物語はフィクションであり、実在する企業、団体、人物などとは関係ありません。C国は架空の日本の隣国…っていうか明らかに中国ですね。でも、Q市はあくまで架空の一都市です。登場人物も特定の個人をモデルとするものではなく、すべて作者の想像上の産物です。

作者の注意散漫なうっかり体質による読み苦しい間違いも多々あるかと思います。広い心で付き合ってください。

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2010年12月22日
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******** X'mas 企画 15 days of Christmas in 花園***********

サンタクさんの贈り物  第12夜 いざ豪豪花園




王家での職を失ったリンホンは、その後の数ヶ月、仕事を転々とした。住むところがなくなったので、できれば次も住み込みの仕事を見つけたかったのだが、運悪くそういった仕事は見つからなかった。リンホンは、家政婦養成所の所長のもとに駆け込み、とりあえずの仕事とともに、同じ省から出てきている出稼ぎ家政婦達を紹介してもらい、彼女達のアパートに間借りして、通いの仕事に出ることになった。


所長が紹介してくれた仕事は、今度2人目の子どもを出産予定の奥さんのいる家で、産褥の奥さんの世話が落ち着くまでの短期間のものだった。そしてその仕事が終わったあとも、運悪く次はなく、リンホンはその後数ヶ月、似たような臨時雇いの仕事を続た。仕事にあぶれて家にいる日が多かったので、国許に満足な仕送りもできなかった。王家での仕事は辛いと思ったが、臨時雇いの仕事を続ける日々はもっと辛かった。



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これでは出稼ぎに来ている意味がない。もう、田舎に帰ろうかと思っていたある日、数週間前に病欠の家政婦の補填で入ったH港人の家庭の奥さんから電話があった。


「リンホン、私よ。この前お世話になったマギー。あなた仕事見つかった?」


「それが、なかなかタイミングと条件が合わなくて...。」


「見つかってなかったら、私の友達のところに行ってくれない?ウチの近くの豪豪花園ってところに住んでる、私の日本人の友達のところ。鈴木さんって言うんだけど。彼女、あなたがウチにいる間に、遊びに来たことがあって、あなたの働き振りを見て気に入ったから、ぜひ来てほしいって言ってるのよ。」

ああ、たしかにそんなことがあった。マギーさんのうちには一月弱いたが、
社交家のマギーさんは、しょっちゅう友達を家に呼んでいた。外国人の友達も多く、西洋人がたくさん来ることもあれば、日本人ばかりのときもあったっけ。

「あなたが住み込み希望なのは知ってるけど、鈴木さんは通いが希望。でも、その分、お給料も上乗せするって言ってるから、悪い話じゃないと思うんだけど。」


C国のお手伝いの給料は、住み込みのほうが通いより安い。住み込みのほうが、長時間使われて休む暇もないので、より高給をもらってもよさそうに思えるが、そうではない。住み込みは、出稼ぎ労働者にとっては家賃の心配がない分だけ給料が安くなる。寮完備の就職先というわけだ。


仕事のチャンスというのはどこに転がっているかわからない。もう、田舎に帰る潮時と思っていたときに、自分の知らぬうちにで見初められ、仕事が転がり込んできた。初めての外国人の家庭で不安だったが、もうそんなことは言ってられない。


こうして、リンホンは豪豪花園の日本人家庭、鈴木家の家政婦になった。初めに入った、王家時代のお手伝い仲間のひとりのお義姉さんが、高給をもらって働いてたという、外国人住人が大半のコンパウンドだ。


(つづく…)



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最終更新日  2010年12月22日 22時33分41秒
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