|
テーマ:お勧めの本(7394)
カテゴリ:読書
「ルネサンスの歴史」モンタネッリ、ジェルヴァーゾ著
を読み始めました。この本はかなり前に購入していて 下巻の興味のある人物の部分だけ読んでみたのです が、そのあまりの毒舌にショックを受け(尊敬していた 人物がこういう人だったのといろいろ暴露されていて) そのまま本棚の奥にしまっていました。それが最近に なって部屋の整理をした時に前面に出てきて、手に取 って数ページ読んだところけっこう面白く、今なら大丈夫 かもとあらためて上巻から読み始めました。 上巻はルネサンス前のイタリアの情勢について人物の エピソードを混ぜながら説明しているのですが、やっぱ りかなりの毒舌(笑)有名人物についても情け容赦なく 書かれています。さらに「文明」という後は「都市」から 派生して、ローマやアテナイは都市だから文明があった けどマケドニアには都市がなく農耕牧畜の生活しかなか ったから文明はなくただ軍隊的な生活様式があっただけ だ、なんて書かれています。アレキサンダーのファンとし ては許せない発言です(笑)その他にも人文主義者は 古典にとりつかれた本の虫とか、それまですごくいい イメージだった「ヒューマニズム」という言葉もガラガラと 音をたてて崩れてしまいました。 そのように私の今までのルネサンス期に対するイメージ をことごとく覆すようなことが次々書かれているのですが、 そう言われてみればそうかもしれないと否定できないこと ばかりです。イタリアは都市や小国が覇権を争って統一 国家にならなかった、だからこそ文化や芸術が生まれた というのです。小国の争いや都市での権力争いは負けた 相手に対してびっくりするほど残酷で、ヒューマニズムと 言いながら人権や人の命の価値などは無視された時代 だったのだとあらためて思いました。そしてイタリアが統一 国家にならなかったのは教皇領があったから、という記述 にも衝撃を受けました。権力が集中しないように足のひっぱ りあいが次々と行われ、教皇の中にはそこまでやるの、と いうようなメチャクチャな人がいたり、皇帝派と教皇派に分 かれて争っていたけど教皇派と言っても純粋にキリスト教徒 として深い信仰心があって教皇を支持しようとしたわけで はなく、皇帝派に反対したいからただ教皇派と名乗っただ け、などなど、とにかく衝撃を受けることばかりです。 でそれでも我慢して読んでいるうちに(笑)この時代の雰囲気 や価値観などが浮かび上がってきました。混沌としたメチャク チャな時代、争いが続いて統一国家がないからこそ、芸術が 生まれ、思想が花開いたのではないかと思うようになりまし た。ルネサンス期に生きた歴史に名前を残すような芸術家や 思想家はいずれも強烈な個性を持っています。その個性ゆえ に大変な人生を歩んだ人も多いのですが、混沌とした時代に 個性を出して生きられたのはある意味すごく幸せな(ぬるま湯 につかって何も考えずに人生が終わるより)ことではないかと 思いました。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年04月16日 11時03分59秒
コメント(0) | コメントを書く
[読書] カテゴリの最新記事
|