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ホビットの家

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2015年04月30日
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テーマ:お勧めの本(7272)
カテゴリ:読書
「海のカテドラル」下巻の半分ぐらいまで読み終わりました。
この部分は興味深い内容が多く、どんどん読み進められました。

主人公アルナウはペストが原因で暴動が起きた時ユダヤ人の子供
を助けたことがきっかけでユダヤ人の両替商と親しくなり、自分
が使っている優秀な奴隷を譲るから同じ商売をやってもうければ
いいと勧められます。最初は気がのらないのですが、イスラム教徒
の奴隷が商売のやり方や取引先をよく知っているので、アドバイス
に従うだけでどんどん繁盛していきます。ちょうど美術展でフィレ
ンツェの金貨や為替を見て、国際的に信用のおける硬貨を作り続ける
ことがどれだけその都市の発展に役立つか、さらに交換の仕組みな
どもわかっていたので面白く読めました。そしてアルナウはペスト
で家族を失った恩人の娘を養女として引き取り、イスラム教徒の
奴隷と3人で血のつながりはないけど家族のように暮らし始めます。
立場や身分をこえた友情や絆が書かれているので、このあたりは
とても気分良く読むことができました。

けれどもやがて平和な暮らしへの侵入者が現れます。アルナウの子供
の時の友人で兄弟のように一緒に暮らしたジュアンが12年ぶりに
バルセロナに戻ってきます。アルナウにとっては大事な弟ですが、ド
メニコ会修道士のジュアンは黒い僧衣を着て気難しく、自分のことを
師をつけて呼べとか口うるさい、美しく成長した養女のマールやアド
バイザーとして信頼を得ていた男にとっては煙たい存在です。さらに
アルナウが戦で手柄を立てたことで王に気に入られ、王の養女と結婚
することになるので、話はますますややこしくなります。アルナウを
中心に養女と妻という女性2人が争い、さらに家族のように暮らして
きた奴隷と離れたところで勉強してきた修道士の弟、男2人の争いも
あります。嫉妬や陰謀がふくらんでややっこしい関係になります。

その後ジュアンはバルセロナを離れて異端審問官になるのですが、こ
のジュアンという人物の描き方がさすがだと思いました。彼はアルナウ
と同じように幼い頃非常に悲惨な境遇に置かれ、母の不幸も直接見てい
ます。それでもそういう出来事に蓋をして「なかったこと」にし、ひた
すら勉強に励んで神学校の優等生になりドメニコ会の修道士になります。
修道士となって遠く離れたボローニャの大学で勉学と修業に励む日々、
そのまま離れていればよかったのでしょうが、バルセロナに戻ってきて
かっては同じような境遇だった兄アルナウが裕福になり家族のような者
と幸せに暮らしている、成功を喜ぶと同時に激しい嫉妬も感じます。自
分が世俗の幸せをすべて捨てて修業に励んでいるのにいまだ神には近づ
けない、そうでない生き方を選んだ兄の方が子供の時も今もよほど神の
そばにいて声を聞き認められている、それが許せないのです。それでも
感情を押し殺し、今度は異端審問官という仕事に生きがいを見出します。
カタルーニャ地方はフランスに近く異端の思想が入りやすい場所、そこ
での取り締まりは簡単に異端者を見つけられます。異端審問官が村へ
行けば皆怖れてかしこまり、最大の敬語を使ってもてなします。子供の
頃惨めな境遇だったのがここでは怖れ敬われる、しかもそれは神の道に
近づく正しい行い、これでは罪びとや異端者を見つける仕事に邁進する
のも仕方がないと思いました。子供の頃の悲惨な体験を「なかったこと」
にして感情を押し殺し勉強や修業に励んで地位を得た者が、神の道、正義
と信じてどんな残酷なことでも平気になる、その怖ろしさがリアルに描か
れていて圧倒されました。

この小説の最初の部分ではかなり反発も感じたのですが、ここまで読んで
作者の知識や研究、そして物語を作る力に深敬意を抱くようになりました。
いつか原語で読み作者と直接会って話がしてみたいです。







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Last updated  2015年04月30日 12時49分33秒
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