これは読まないと…
東日本大震災以来、普段テレビを見ることがあまりなかった私は、今日まで朝から東日本大震災関連の映像を見続けていました。東日本大震の悲惨な映像を見ている時だけではなく日に何度もふいに涙がこみ上げてくるようになってきました。少しテレビから離れて自分の時間を持つようにしようと思います。それで、以前から読んでみたいなって思っていた本があります。『死より蒼く』フィオナ・マウンテン著(講談社文庫)原題;PALE AS THE DEAD ラファエロ前派が関わったミステリらしい。表紙は、ジョン・エバレット・ミレイの『オフィーリア』。シェークスピアの『ハムレット』に題材にした幻想的な絵ラファエロ前派の絵画が大好きな私これは読まないと… QUEEN GERTRUDE There is a willow grows aslant a brook, That shows his hoar leaves in the glassy stream; There with fantastic garlands did she come Of crow-flowers, nettles, daisies, and long purples That liberal shepherds give a grosser name, But our cold maids do dead men's fingers call them: There, on the pendent boughs her coronet weeds Clambering to hang, an envious sliver broke; When down her weedy trophies and herself Fell in the weeping brook. Her clothes spread wide; And, mermaid-like, awhile they bore her up: Which time she chanted snatches of old tunes; As one incapable of her own distress, Or like a creature native and indued Unto that element: but long it could not be Till that her garments, heavy with their drink, Pull'd the poor wretch from her melodious lay To muddy death. ガートルード王妃 柳の木が小川の上に斜めに身を乗り出し 鏡のような流れに銀の葉裏をうつしているあたり。 あの娘は、その小枝で奇妙な冠を作っていました。 キンポウゲ、イラクサ、ヒナギク、シランなどを編みこんで。 あの花を、はしたない羊飼いたちは淫らな名で呼び 清らかな乙女たちは「死人の指」と名付けている。 それからあの娘は柳によじ昇り、しだれた枝に花冠を掛けようとした途端 意地の悪い枝が折れて 花冠もあの娘も すすり泣く流れに落ちてしまった。裳裾が大きく拡がって しばらくは人魚のようにたゆたいながら きれぎれに古い賛美歌を歌っていました。 身の危険など感じてもいないのか 水に生まれ水に棲む生き物のよう。 でも、それも束の間、 水を含んで重くなった服が 可愛そうに、あの娘を川底に引きずり込み 水面に浮かんでいた歌も泥にまみれて死にました。 ウィリアム・シェイクスピア『ハムレット』第4幕7場より 松岡和子:訳:ちくま文庫 シェイクスピア全集1『ハムレット』