46億年の歴史、460m歩き学ぶ…「地球の道」が完成
インストラクターの女優竹下景子さん(左)の解説を聞きながら「地球の道」を歩く参加者ら=今治市高地町2丁目 地球誕生から46億年の歴史を460メートルの道を歩きながら学ぶ「地球の道」が、今治市の今治西部丘陵公園内に完成した。この道を使い、「今治自然塾」として地球環境を学ぶ。17日、協力した脚本家で富良野自然塾塾長倉本聰さんや、富良野自然塾インストラクターでサッカー日本代表前監督の岡田武史さん、同インストラクターで女優竹下景子さんらを招いて、開塾式があった。 開塾式には市民ら約110人が参加。菅良二市長が「(約20年前)市が運動公園を造ろうと調査した時、オオタカが生息していたことで自然公園へ計画を変更した。今振り返ると本当によかった」とあいさつ。倉本さん揮毫(きごう)の「地球は子孫から借りているもの」という北米先住民族に語り継がれている言葉を刻んだ石碑を除幕した。 この後、参加者は20~30人ずつの班に分かれて岡田さん、竹下さんらの解説を聞きながら地球の道を歩き、46億年の地球の過去から未来へ思いをはせた。 竹下さんの班で地球の道を体験した同市立立花小学校5年村上果穂さん(11)は「460メートルのうち現在のような人間の暮らしになった約200年間はたったの0.02ミリと聞いてびっくりした。地球を大切にしなくては、と思った」と話していた。 ■倉本聰さん「現在の暮らし、考え直す時」 開塾を記念し、同市玉川町のグリーンピア玉川では、倉本さんの講演「当たり前の暮らしを求めて」と、岡田氏や竹下氏らを交えたパネル討論があった。 倉本さんは「大震災で今までの社会が崩壊した。大量生産、大量消費、大量廃棄の世の中が続き、豊かさ・ぜいたくの極限まで来たところに原発の事故という人災が起きた。これまで通りの生活を求めるなら2度目3度目の原発事故を覚悟しなければならない」と述べた上で、「幸せとは何だろうかと現在の暮らしを考え直す時だ」と強調した。 パネル討論も、大震災を受けたテーマに絞られた。 被災地で子どもたちにサッカーを教えた岡田さんは「人間の力を持ってしてはどうしてもできないことがある。人にとって一番大切なものは希望。元気な子どもたちを見て笑顔も戻る。スポーツや文化で希望を与えていきたい」。 阪神大震災後の神戸で朗読コンサートを開いている竹下さんは「人は一人では生きていけない。被災地の子どもたちの悔しい思いを20年、50年先に生かしていかねば」と話した。 倉本さんは、「天災と人災をはっきりと分けて論じないといけない。復興はいいが、ただ元に戻す復旧ではいけない」と強調した。(寺門充)2011年4月18日 asahi.com